てんかん重積状態のげっ歯類モデルではカルシウム透過性AMPA受容体が発現している
Calcium-Permeable AMPA Receptors Are Expressed in a Rodent Model of Status Epilepticus
Rajasekaran K, Todorovic M, Kapur J.
Department of Neurology, University of Virginia, Charlottesville, VA. jk8t@virginia.edu
Ann Neurol. 2012 Jul;72(1):91-102. doi: 10.1002/ana.23570.
てんかん重積状態(SE)発作中の海馬におけるAMPA受容体(AMPAR)を介した神経伝達の可塑性を特徴づけるための試験を実施した。ラットにピロカルピンを投与してSEを誘発し、グレード5の発作初発後10分(難治性SE)または60分(遅発SE)の時点で評価した。
難治性SEおよび遅発SE動物のCA1錐体ニューロンで電位固定法により測定したAMPAR電流は内向き整流性でフィラントトキシン感受性であった。難治性SEおよび遅発SEでビオチン化アッセイを用いて検討した海馬膜表面GluA2サブユニットの発現が低下していた。培養海馬の錐体ニューロンでは、群発刺激によりGluA2サブユニット発現が減少し、内在化率が上昇した。[Ca]i 濃度の上昇は、GluA2欠損AMPARを選択的に阻害することにより低下した。AMPAR拮抗薬のGYKI-52466による発作停止をビデオ撮影と脳波記録で確認した。
本試験結果は、SE治療においてAMPARが治療ターゲットになりうることを示している。
コメント
SE発作の間、AMPARの可塑性が観察され、それはGluA2欠損AMPARの発現を伴っているという今回の報告にあるように、ラットでは発作重積にAMPARが関与しているようである。グルタミン酸情報伝達系制御の標的をNMDA受容体のみに限らず、AMPARをも考える必要性を示唆する報告であり、AMPAR阻害薬の開発が待たれる。ちなみに、部分発作の治療薬として、perampanelが欧州で新薬承認されており、近い将来日本でも発売されるであろう。てんかんは頻度の高い疾患であるが、発作を診察医が直接観察する機会が少なく、そのため正確な診断が困難なこと、また、抗てんかん薬が乏しいことなどにより、神経内科医の中では、敬遠されがちな疾患であった。しかし、ビデオ撮影付き脳波記録の普及や、新薬の開発が急速に進み、今後最も注目される領域になりつつある。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: