急性脳内出血に合併する新規虚血性病変
New ischemic lesions coexisting with acute intracerebral hemorrhage
Kang DW, Han MK, Kim HJ, Yun SC, Jeon SB, Bae HJ, Kwon SU, Kim JS.
Departments of Neurology (D.-W.K., H.-J.K., S.-B.J., S.U.K., J.S.K.) and Clinical Epidemiology and Biostatistics (S.-C.Y.), Asan Medical Center, University of Ulsan College of Medicine, Seoul; and Department of Neurology (M.-K.H., H.-J.B.), Seoul National University Bundang Hospital, Seoul National University College of Medicine, Seongnam-si, Kyonggi-do, South Korea. dwkang@amc.seoul.kr.
Neurology. 2012 Aug 28;79(9):848-55. Epub 2012 Jul 25.
急性高血圧性脳内出血(intracerebral hemorrhage:ICH)患者における新規虚血性病変(new ischemic lesions:NIL)の頻度と、NILの存在が将来の脳血管イベント発生を予測するか検討した。発症から3日以内に診断された急性高血圧性ICH患者97例を対象とした前向き試験で、発症から5日後の拡散強調画像(diffusion-weighted imaging:DWI)とT2*強調画像を用いた。
26例(26.8%)に無症候性NIL49病変が認められ、そのうち37病変(75.5%)は皮質下白質または脳幹に観察された。多重ロジスティック回帰分析では、中等度から重度の白質病変が、NILの独立した危険因子であった。中央値42ヵ月の追跡期間中、9例に脳血管イベントが認められた。Cox比例ハザードモデルにおいて、NILは脳血管イベントを予測する独立した危険因子であり、小血管病変の発生に関与しており、将来的に脳血管イベントを起こす高リスク患者を特定する有用なマーカーとなる可能性がある。
コメント
今月は、韓国からの脳血管障害に関する前向き研究の論文である。ラクナ梗塞と高血圧性脳出血は、高血圧による小血管病が原因の一つであり、危険因子の高血圧のコントロールが進むことで、頻度は減少してきた。しかし、本論文が指摘する脳出血直後の新たな脳梗塞の併発は、脳出血急性期治療における降圧の危険性を指摘することにもつながると考えられる。さらに、ラクナ梗塞時に微小出血の有無をチェックせずに血栓溶解療法をすれば大出血を引き起こす可能性も示唆される。将来の脳血管イベントの予測だけではなく、急性期治療への提言としても興味がある論文であり紹介した。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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