ハンチントン病患者523例から得た脳の皮質および線条体病変の検討
Assessment of cortical and striatal involvement in 523 Huntington disease brains
Hadzi TC, Hendricks AE, Latourelle JC, Lunetta KL, Cupples LA, Gillis T, Mysore JS, Gusella JF, Macdonald ME, Myers RH, Vonsattel JP.
From the Department of Neurology (T.C.H., J.C.L., R.H.M.), Boston University School of Medicine, Boston; Department of Biostatistics (A.E.H., K.L.L., L.A.C.), Boston University School of Public Health, Boston, MA; Center for Human Genetic Research (T.G., J.S.M., J.F.G., M.E.M.), Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School, Boston; The Taub Institute for Research on Alzheimer's Disease and the Aging Brain (J.-P.V.), The Department of Pathology and Cell Biology, Columbia University Medical Center, and the New York Presbyterian Hospital in the College of Physicians and Surgeons, Columbia University, New York, NY
Neurology. 2012 Oct 3. [Epub ahead of print]
ハンチントン病(HD)において、線条体病変と、脳の他の部位の病変、CAGリピートサイズ、発症年齢、その他の因子との関係性を検討した。対象と方法はハーバード脳組織リソースセンターに提出された664例のHD患者の脳標本から適切と判断された523例。50の領域について、目視下および顕微鏡下で、標準化スコアを用いて0(なし)〜4(重度)に判別。
クラスター解析により、病変の解析は、線条体と皮質の2ヵ所のデータに絞られ、線条体クラスターと皮質クラスターの間には相関が認められ(r=0.42)、それぞれ罹病期間との間にも相関が認められた(線条体:r=0.35、皮質:r=0.31)。線条体クラスターはHDリピートサイズ、若年での死亡、発症年齢とも関連していた(それぞれr=0.50、r=−0.52、r=−0.33)。脳重量の低下については、皮質クラスターが線条体クラスターより強い相関を示した(それぞれr=−0.52、r=−0.33)。
HD患者の脳における局所病変は、様々な因子により修飾を受け、神経病理学的病変が常に同調して進行するものではないことが示唆された。
コメント
神経難病支援は難渋する場合が多いが、中でも遺伝子の異常で起こる疾患や、精神症状や認知症を合併する疾患には慎重な配慮を要する。ハンチントン病は日本では頻度は少ないが、最も対応に苦慮する疾患の一つである。大脳皮質から基底核まで広範囲に障害されるが、個々の症例で、進行のパターンに相違がある。すなわち精神症状が先行する場合や、舞踏運動が先行する場合などであるが、それらが診断の難しさやその後の支援の多様性をもたらす。本論文は病理学的に病変のパターンの相違を指摘したものであり、臨床経過を裏付けるとともに、著者らも指摘しているとおり、修飾因子の同定により新たな治療薬開発が期待され、興味深い。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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