関節リウマチ患者においてインターロイキン-6機能の抑制はTh17/Treg細胞の不均衡を是正する
Brief report: inhibition of interleukin-6 function corrects Th17/Treg cell imbalance in patients with rheumatoid arthritis.
Samson M, Audia S, Janikashvili N, Ciudad M, Trad M, Fraszczak J, Ornetti P, Maillefert JF, Miossec P, Bonnotte B.
INSERM, UMR 1098, Besançon, France.
Arthritis Rheum. 2012 Aug;64(8):2499-503. doi: 10.1002/art.34477.
ヒト化抗インターロイキン(IL)-6受容体抗体であるトシリズマブ(TCZ)による治療が関節リウマチ(RA)を改善する免疫学的メカニズムについては、未だ不明な点が多い。これまでの研究から、IL-6がTh17細胞の分化に重要な役割を果たすこと、Th17リンパ球がRAの病変形成に大きく関与することが知られている。本研究では、リウマチ専門医によりTCZを処方されている活動性RA患者を対象に、IL-6阻害によりTh17細胞とTreg細胞のバランスが影響を受けるかどうか検討した。
対照例と比べ、活動性RA患者の末梢血中ではTh17細胞(CD4+IL-17+)が増加、Treg細胞(CD4+CD25highFoxP3+)が減少していた。循環血中のTreg細胞による免疫抑制作用に変化はみられなかった。TCZ投与によりすべての患者において、28関節での疾患活動性スコア(DAS28)が有意に減少(P=0.0039)したが、これに伴いTh17細胞の割合が有意に減少(中央値0.9%から0.45%、P=0.009)し、Treg細胞の割合が有意に増加(中央値3.05%から3.94%、P=0.0039)した。
この結果により、TCZによるIL-6阻害がRA患者におけるTh17細胞とTreg細胞の不均衡を是正することが初めて明らかになった。
コメント
in vitroでヒトIL-6またはIL-1がTGF-βとともにTh0細胞からTh17細胞に分化することが知られている。また自己免疫疾患の病態にTh17細胞の活性化が強く示唆されていることから、IL-6はTh17細胞の増殖、活性化を促し自己免疫疾患を発症・増悪させると考えられている。このことからIL-6を阻害することによって増加しているTh17細胞がin vivoにおいて減少するかどうかは興味のある点であった。また一方、調節性Treg細胞が増加するかも興味のある点であった。このたび、筆者らはRA患者でIL-6阻害するTCZ治療を行い、症状の改善とともにTh17細胞の減少とTreg細胞の増加を観察した。この結果は興味深いが、臨床結果とT細胞変化との関連性については証明されていない。またRA患者の活動性およびステージを一致させて対象となる患者数を増やし、この現象を証明すべきと思われる。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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