C9orf72遺伝子の配列伸長が認められる前頭側頭葉変性症および筋萎縮性側索硬化症における認知機能の低下と生存期間の短縮
Cognitive decline and reduced survival in C9orf72 expansion frontotemporal degeneration and amyotrophic lateral sclerosis
Irwin DJ, McMillan CT, Brettschneider J, Libon DJ, Powers J, Rascovsky K, Toledo JB, Boller A, Bekisz J, Chandrasekaran K, Wood EM, Shaw LM, Woo JH, Cook PA, Wolk DA, Arnold SE, Van Deerlin VM, McCluskey LF, Elman L, Lee VM, Trojanowski JQ, Grossman M.
Department of Pathology and Laboratory Medicine, Center for Neurodegenerative Disease Research, Alzheimer's Disease Core Center, Institute on Aging, Philadelphia, Pennsylvania, USA.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2012 Oct 31. [Epub ahead of print]
C9orf72遺伝子の配列伸長を有する群(C9P)と配列伸長を持たない群(C9N)に前頭側頭葉変性症(FTLD)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者を分けて、臨床特性を比較した。対象は、C9P群64例(ALS=31、FTLD=33)とC9N群79例(ALS=36、FTLD=43)である。研究の方法は、後向き症例対照研究である。
C9P群は、C9N群と比べて有意に発症年齢が早く、生存期間が短かった。ALS患者ではC9P 群はC9N群と比べて生存期間が短かった。FTLD患者では、C9P群はC9N群に比べ、単語想起能力の低下率が有意に大きかった。FTLD患者では、C9P群はC9N群に比べ、右前島皮質、視床、小脳および両側頭頂領域における萎縮程度が大きかった。神経病理学的には、C9P群のFTLD患者では中前頭皮質における神経の損傷が大きく、中前頭皮質におけるTDP-43の関与の程度が単語想起能力の不良な成績と関連していた。
つまり、C9P遺伝子配列の有無はALSおよびFTLDを有する患者の予後および診断に有益な臨床情報をもたらす可能性があると示唆された。
コメント
近年、染色体上のC9orf72の存在はALSの病気の進行に関係していることが示唆されている。しかし、C9orf72がどのようなメカニズムでALSと関係しているのかはわかっていない。病気の促進に関係しているとすれば病気の進行を抑制する治療方法の確立につながると期待される。日本人ではこの遺伝子配列異常の者が少ないと報告されており、ALSの病因と関係しているのかどうかについては、未知なことが多いというのが現状である。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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