natural Treg細胞ではなく、抗原特異的TGF-β誘導性Treg細胞により、Th17/Treg細胞のバランスがTh17細胞優位からTreg細胞優位に変化し、マウスにおける自己免疫性関節炎が改善する
Antigen-specific transforming growth factor β-induced Treg cells, but not natural Treg cells, ameliorate autoimmune arthritis in mice by shifting the Th17/Treg cell balance from Th17 predominance to Treg cell predominance.
Kong N, Lan Q, Chen M, Wang J, Shi W, Horwitz DA, Quesniaux V, Ryffel B, Liu Z, Brand D, Zou H, Zheng SG.
University of Southern California, Los Angeles, CA 90033, USA.
Arthritis Rheum. 2012 Aug;64(8):2548-58. doi: 10.1002/art.34513.
IL-2およびTGF-βによりex vivoで誘導した抗原特異的Treg細胞(iTreg細胞)のコラーゲン誘発関節炎(CIA)に対する影響を、胸腺由来のnTreg細胞のそれと比較した。
II型コラーゲンによる免疫前後のマウスにex vivoで誘導したiTreg細胞とnTreg細胞を移入し、関節炎スコア、炎症反応(血清中の抗II型コラーゲン抗体濃度と関節の組織学的変化)、およびリンパ節細胞のサイトカイン産生分布を観察することによりTh1/Th17細胞による自己反応性について評価した。
nTreg細胞は移入後、FoxP3とBcl-2の発現が減少し免疫抑制作用が減少した。またその多くがTh17細胞に分化した。一方、移入されたiTreg細胞はその多くが残存して増加し、IL-6存在下でもFoxP3発現が維持され免疫抑制作用が継続し、Th17細胞への分化にも抵抗性を示した。注目すべきことに、ドナーからiTreg細胞を移入した10日後において、レシピエントのリンパ節におけるTh17細胞優位がTreg細胞優位に変化した。
これらの結果から、自己免疫が確立したマウスに移入されたTGF-β誘導iTreg細胞はnTreg細胞よりも、安定して機能することが示された。さらに、炎症の進行中にもiTreg細胞の寛容誘導作用が認められた。ヒトiTreg細胞を用いた慢性免疫疾患の治療の可能性についての研究が求められる。
コメント
自己免疫疾患で慢性炎症を示す関節リウマチの治療は現在サイトカインを抑制する生物学的製剤を用いた治療が増加し、その有効性が示されている。しかし、次の時代の治療として、免疫反応を抑制する治療の開発が注目を浴びている。本研究は免疫抑制としてT細胞レベルで行うもので、おもに調節性T細胞(Treg細胞)移入による治療法を示唆している。Treg細胞にはnTregとiTregがあるが、著者らは抗原特異的iTreg細胞を用いると免疫寛容により治療への展望もあるのではないかと示唆している。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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