神経学的疾患における小胞体機能障害
Endoplasmic reticulum dysfunction in neurological disease.
Roussel BD, Kruppa AJ, Miranda E, Crowther DC, Lomas DA, Marciniak SJ.
Department of Medicine, Cambridge Institute for Medical Research, University of Cambridge, Cambridge, UK; INSERM U919, University of Caen Lower Normandy, Serine Proteases and Pathophysiology of the Neurovascular Unit, Public Interest Group CYCERON, Caen, France.
Lancet Neurol. 2013 Jan;12(1):105-18. doi: 10.1016/S1474-4422(12)70238-7.
小胞体機能障害(以下ERと略す)は、脳虚血障害、睡眠時無呼吸症候群、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、プリオン病、およびニューロセルピン封入体を伴う家族性脳疾患などの幅広い神経学的疾患において重要な役割を担っているとされている。本稿は最近の研究論文をレビューしたものである。
脳卒中患者の神経細胞のER内に蛋白質の折りたたみ異常が生じ、小胞体機能障害が起こり、このことがカルシウムの再灌流障害による毒性作用と関連していると考えられている。アルツハイマー病においては毒性を有するβアミロイドペプチドができ、ERの機能障害が引き起こされ、同様の経路が活性化される。
しかし、神経細胞のERにポリマー形成ニューロセルピンがなぜ蓄積してER機能障害が引き起されるのかは十分に解明されていない。また、パーキンソン病やハンチントン病などのその他の神経学的疾患でも、ERに機能障害が起こっていることはわかってきているが発病機序は明らかにされていない。これらのシグナル伝達応答因子を標的とすることで幅広い神経変性疾患の治療につながる可能性がある。
コメント
異型ニューロセルピンはニューロン小胞体とリソゾームに一定量蓄積することにより病的変化を起こすとされている。この小胞体内の蛋白質の構造変化がかなり多くの神経難病と関係しており、種々の知見が得られているようであるが、発症機序の解明にはまだ至っていないようである。認知症と異常蛋白質の蓄積には関係があり発病機序が解明されると聞いてから約20年経過しているが、本論文からすると患者の治療薬の開発まではまだ時間がかかりそうである。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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