日本人筋萎縮性側索硬化症患者におけるp62コード遺伝子の変異
Mutations in the gene encoding p62 in Japanese patients with amyotrophic lateral sclerosis
Hirano M, Nakamura Y, Saigoh K, Sakamoto H, Ueno S, Isono C, Miyamoto K, Akamatsu M, Mitsui Y, Kusunoki S.
Department of Neurology, Sakai Hospital (M.H., Y.N., H.S., S.U., C.I.), and Department of Neurology (K.S., K.M., Y.M., S.K.), Kinki University Faculty of Medicine, Osaka, Japan; and the Department of Neurology (M.A.), Kongo Hospital, Osaka, Japan.
Neurology. 2013 Jan 29;80(5):458-63.
目的・方法:家族性および孤発性の筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の原因遺伝子として、最近米国において、p62をコードする遺伝子SQSTM1が同定された。本試験の目的は、日本人のALS患者における当該遺伝子の変異について検討することであった。61例の日本人ALS患者(孤発性および家族性)を対象として、SQSTM1の遺伝子配列を解析した。当該遺伝子変異陽性症例に関する臨床所見の報告は、本稿が初めてである。
結果・結論:孤発性ALS患者2例において、新規の遺伝子変異としてp.Ala53Thrとp.Pro439Leuを同定し、2例の臨床所見は、様々な上位運動ニューロンの徴候を呈する典型的なALS患者と同様であった。SQSTM1は骨パジェット病(PDB)の原因遺伝子としても知られているが、PDBの合併はなかった。SQSTM1遺伝子の変異が日本人ALS患者でも認められたことは、世界的に共通してみられることを示唆している。
コメント
Sequestosome 1(SQSTM1)/p62は、ユビキチン結合タンパク質で、オートファジー関連因子であるLC3と結合することが報告され、ユビキチン/プロテオソーム系からオートファジー系のタンパク質分解へ誘導するタンパク質と考えられ注目されている。今回当該遺伝子変異が、日本人弧発性ALSの54例中2例(3.7%)と若干アメリカでの検討(4.4%)より低率ではあるが同様に見つかったことは、ALSにおける神経変性の機序を考える上で重要な発見であると同時に、変性疾患の原因として遺伝子異常の関与の重要性をも示唆する発見であり、興味深い。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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