α-シヌクレインの病理は胃切除術を受けた患者の術後せん妄に関連する
α-Synuclein pathology is related to postoperative delirium in patients undergoing gastrectomy
Sunwoo MK, Hong JY, Choi J, Park HJ, Kim SH, Lee PH.
From the Departments of Neurology (M.K.S., J.Y.H., P.H.L.) and Pathology (S.H.K.), Yonsei University College of Medicine, Seoul; Department of Pathology (J.C.), Yonsei University Wonju College of Medicine, Wonju; and Severance Biomedical Science Institute (H.J.P., P.H.L.), Seoul, Korea.
Neurology. 2013 Feb 26;80(9):810-3.
術後せん妄の臨床的特徴は、レビー小体型認知症や認知症を伴うパーキンソン病など、α-シヌクレイン(SYN)に関連する認知障害の中核症状に類似している。胃の全摘を受けた患者のうち、術後せん妄を呈した患者と呈しなかった患者(各16例)を選択し、筋層間神経叢におけるα-SYNを免疫組織化学的に検討した。さらに、術後せん妄に対する独立した予測因子をロジスティック回帰分析で同定した。
術後せん妄を呈した患者では、呈しなかった患者と比較して、集中治療室に入院した患者の割合(43.8% 対 6.3%、P=0.037)、正常α-SYN陽性患者の割合(56.3% 対 12.5%、P=0.023)、リン酸化α-SYN陽性患者の割合(43.8% 対 6.3%、P=0.037)がそれぞれ高かった。ロジスティック回帰分析によると、正常α-SYNに対する免疫反応(オッズ比[OR]9.20)と、集中治療室への入院(OR 11.97)が、術後せん妄に独立して関連していた。術後せん妄がα-SYNに関連する認知障害の発症前段階を示す可能性がある。
コメント
神経変性疾患の発症前診断が治療や予防の観点から重要視されている。認知機能障害を呈する疾患においても同様であり、以前当updateで紹介したがアルツハイマー病でpreclinical diagnosisが話題になっている。パーキンソン病においては認知症を伴うパーキンソン病への移行の早期診断はQOLを考える上で重要であるが、本論文は、術後せん妄が発症前診断に役立つ可能性を指摘したものである。筆者らも指摘している通り、症例数が少ないことや、認知機能の評価ができていないことなど検討すべき点はあるが、興味深い報告であり取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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