2009年パンデミックインフルエンザ(A/H1N1)型に対するAS03アジュバント添加ワクチンの若年者に対するナルコレプシーのリスクの検討:後ろ向き調査
Risk of narcolepsy in children and young people receiving AS03 adjuvanted pandemic A/H1N1 2009 influenza vaccine: retrospective analysis
Miller E, Andrews N, Stellitano L, Stowe J, Winstone AM, Shneerson J, Verity C.
Immunisation, Hepatitis and Blood Safety Department, Health Protection Agency, Colindale, London NW9 5EQ, UK.
BMJ. 2013 Feb 26;346:f794. doi: 10.1136/bmj.f794.
2009年パンデミックインフルエンザ(A/H1N1)型に対するAS03アジュバント添加ワクチン(Pandemrix)とナルコレプシー発症リスクをイングランドの4〜18歳の者について検討した。
ワクチン接種・病歴情報は「一般医」から、ナルコレプシー患者はイングランドの「睡眠センターおよび小児神経科」の臨床情報から抽出し、専門家委員会で確定した。245例のケースを抽出し75例をナルコレプシーと確定した。
11例は発症前の接種者で、7例は発症前6ヵ月以内の接種者であった。ワクチン接種による発症のオッズ比は14.4(95%CI:4.3〜48.5)、6ヵ月以内の接種のオッズ比は16.2(95%CI:3.1〜84.5)であった。2008年10月〜2010年12月の発症者を対象とした自己対照事例解析では発症リスクは9.9(95%CI:2.1〜47.9)であった。
寄与リスクは57,500〜52,000回接種あたり1人と推定された。ただし診断の変動が見られ、接種を受けた小児の紹介の偏りからリスクが過剰評価されている可能性がある。
コメント
ナルコレプシーは突然睡眠発作が起こす疾患である。病因としてオレキシンの欠乏が報告されている。オレキシン神経が自己免疫により損傷を受けて生じるとの報告もある。本論文は、AS03アジュバント添加ワクチン接種により年少者でナルコレプシー発症リスクが高くなることを示している。インフルエンザワクチン接種すべてに同様のリスクがあることを示しているものではない。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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