関節リウマチ(RA)におけるNLRP3-インフラマソーム活性化を示すエビデンス:RAへのかかりやすさに関するNLRP3-インフラマソーム複合体内の遺伝子変異および抗TNF療法に対する反応性
Evidence of NLRP3-inflammasome activation in rheumatoid arthritis (RA); genetic variants within the NLRP3-inflammasome complex in relation to susceptibility to RA and response to anti-TNF treatment.
Mathews RJ, Robinson JI, Battellino M, Wong C, Taylor JC; Biologics in Rheumatoid Arthritis Genetics and Genomics Study Syndicate (BRAGGSS),, Eyre S, Churchman SM, Wilson AG, Isaacs JD, Hyrich K, Barton A, Plant D, Savic S, Cook GP, Sarzi-Puttini P, Emery P, Barrett JH, Morgan AW, McDermott MF.
Leeds Institute of Rheumatic and Musculoskeletal Medicine, University of Leeds, Leeds, UK.
Ann Rheum Dis. 2013 May 17. [Epub ahead of print]
腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬(インフリキシマブ)の投与を受けている29名の関節リウマチ(RA)患者から末梢血単核細胞を採取し、NLRP3-インフラマソーム(カスパーゼ-1インフラマソーム)を構成する蛋白質の遺伝子(ASCMEFVNLRP3CARD8CASP1)の発現について調べた。次に、Biologics in Rheumatoid Arthritis Genetics and Genomics Study Syndicate(BRAGGSS)コホートを用い、TNF阻害薬(インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト)の投与を受けている白人RA患者1,278名から末梢血単核細胞を採取し、NLRP3MEFVCARD8について34種類のSNP(一塩基多型)を調べた。これらのSNPについて、回帰分析を行いRAへのかかりやすさおよび6ヵ月間の抗TNF療法に対する効果(DAS28スコアとEULAR改善基準)との関連を調べ、さらに、283名の健康なヨーロッパ人のゲノムワイドSNPデータを基に、2次eQTL(量的形質遺伝子座)解析を行った。
健康対照に比べて、治療前のRA患者におけるASCMEFVNLRP3-FL、NLRP3-SLおよびCASP1遺伝子の発現は有意に高く、CARD8遺伝子の発現は低かった。カスパーゼ-1とIL-18の血清濃度はRA患者で有意に増加していた。回帰分析の結果、NLRP3遺伝子とCARD8遺伝子の複数のSNPにおいて、RAへのかかりやすさと抗TNF療法に対する効果との関連が認められた。しかし、これらの関連が認められたSNPはいずれも、それぞれの遺伝子座における主要なeQTL変異ではなく、今後の検討が必要と考えられる。
コメント
関節リウマチの発症関連遺伝子、あるいはTNF-α阻害薬に対する応答性の相違を治療前に知ることができれば大変有用である。NLRP3-インフラマソームは自然免疫異常、特にIL-1発現に重要な合成蛋白であり、いくつかの遺伝子産物によって構成されている。NLRP3の異常等による自然免疫異常による疾患をAutoimmune syndromeという。関節リウマチは自己免疫疾患(Autoimmune disease)であるが、NLRP3の異常により発症が関連する可能性の有無を検討した。その結果、サマリーにあるように、いくつかの遺伝子が正常な人に比しやや発現が増加していることが示された。このことは関節リウマチになりやすい人とそうでない人を低い確率ではあるが、想定しうる。またTNF-α療法に対する効果も想定し得た。しかし、本検査結果は関連性が低いと同時に主要な変異SNPではないため、予測マーカーにはなり難いと思われる。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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