前臨床期のアルツハイマー病と転倒リスク
Preclinical Alzheimer disease and risk of falls.
Stark SL, Roe CM, Grant EA, Hollingsworth H, Benzinger TL, Fagan AM, Buckles VD, Morris JC.
From the Program in Occupational Therapy (S.L.S., H.H., J.C.M.), and Departments of Radiology and Neurosurgery (T.L.B.) and Neurology (S.L.S., C.M.R., A.M.F., V.D.B., J.C.M.), Washington University School of Medicine; and Knight Alzheimer's Disease Center (C.M.R., E.A.G., T.L.B., A.M.F., V.D.B., J.C.M.) and Hope Center for Neurological Disorders (A.M.F.), Washington University, St. Louis, MO.
Neurology. 2013 Jun 26. [Epub ahead of print]
認知機能が正常な、一般社会で生活している高齢者の転倒リスクを検証した。転倒の累積発生率を、12ヵ月の前向きコホート研究で調査した。参加者は臨床評価を受け、Pittsburgh compound B(PIB)‐PETイメージングおよび腰椎穿刺を受けた。転倒の報告は月ごととし、個別のカレンダー日記に記録して返送してもらった。
頻度の高い転倒リスク因子の補正後、Cox比例ハザードモデルにより、最初の転倒までの時間が、各バイオマーカーおよびCSF内のタウ/Aβ42およびリン酸化タウ/Aβ42の比率に関連があるか検証した。
サンプル(125例)は女性(62.4%)および白人(96%)で、平均年齢は74.4歳。日常生活動作を行う能力で補正すると、PIB集積(ハザード比2.95、95%CI 1.01〜6.45、P=0.05)およびCSFバイオマーカーの比率(P<0.001)が高レベルの場合、最初の転倒までの期間が短かった。高齢者の転倒の素因となるわずかな非認知的変化はアルツハイマー病(AD)に関連があり、検知可能な認知的変化に先行することを示している。
コメント
ADに対する疾患修飾療法が可能になるにはまだ期間がかかるかもしれないが、可能になればADの前臨床期での診断は重要な課題である。パーキンソン病における前臨床期のレム睡眠行動異常症はよく知られており、ADにおいても前臨床期における症状として体重減少や脆弱性を指摘した報告はある。本論文もその流れの一つであるが、認知機能とは直接は無関係と思えた易転倒性のAD前臨床期診断に対しての意義を示した報告であり、興味があり紹介した。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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