パーキンソン病のCamPaIGN調査研究:集団ベースの発症者コホートの10年間の追跡結果
The CamPaIGN study of Parkinson’s disease: 10-year outlook in an incident population-based cohort
Williams-Gray CH, Mason SL, Evans JR, Foltynie T, Brayne C, Robbins TW, Barker RA.
John Van Geest Centre for Brain Repair, Department of Clinical Neurosciences, University of Cambridge, Cambridge, UK.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2013 Jun 18. [Epub ahead of print]
パーキンソン病(PD)の予後は、発症者の自然経過に関するバイアスのないデータが不足しているためほとんど解明されていない。
イギリスのケンブリッジ地方で2000年12月から2002年にかけて診断基準を満たした142例を2012年1月1日まで追跡した。臨床検査、神経心理学的検査、遺伝子検査を実施した。
Kaplan–Meier生存分析とCox回帰分析を用いて主要指標への進行を評価した。10年間で55%が死亡し、生存者の68%が姿勢保持障害、46%が認知症となった。23%は良好な転帰をたどった。死亡率は英国の一般集団と同等であった(標準死亡率1.29[0.97〜1.61])。PDが死因であったのは20%で、最も多い死因は肺炎であった。
年齢、非振戦優位運動型のPDおよび併存疾患数が多いことが、姿勢保持障害の進行に影響していた。認知症には、年齢、運動障害、「後部皮質」認知障害および微小管結合蛋白質タウ(MAPT)遺伝子型が関係した。
コメント
イギリスは地域にかかりつけ医師がいるために、医療者と地域のケア提供者が協働して患者を観察することが可能であり、それを生かした疫学研究である。PD患者の10年後の死亡率は一般の住民と比較して少し高い程度であったが、4分の1だけが良好な運動能力を保持していた。死因はPDと直接的な関連はないものであった。本研究からはPDは致命的な疾患でないことが確認された。臨床症状の緩和やQOLの改善が重要であることは言うまでもないことであるが、認知症の発症予防に関する研究が今後の重要な課題であることを示している。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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