中枢・末梢連合脱髄症を有する患者における抗ニューロファスチン抗体
Anti-neurofascin antibody in patients with combined central and peripheral demyelination
Kawamura N, Yamasaki R, Yonekawa T, Matsushita T, Kusunoki S, Nagayama S, Fukuda Y, Ogata H, Matsuse D, Murai H, Kira JI.
From the Departments of Neurology (N.K., T.Y., T.M., H.O., D.M., H.M., J.K.) and Neurological Therapeutics (R.Y.), Neurological Institute, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, Fukuoka; Department of Neurology (S.K.), School of Medicine, Kinki University, Osaka; Department of Neurology (S.N.), Kanazawa Medical University; and Department of Neurology (Y.F.), Sasebo City General Hospital, Japan.
Neurology. 2013 Jul 24. [Epub ahead of print]
中枢・末梢連合脱髄症(CCPD)の標的抗原を同定することを目的とした。
末梢神経組織を用いて、免疫組織化学的検査及び免疫ブロット法により、選択したCCPD及び慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)症例の血清抗体が認識した標的抗原をスクリーニングした。次に、ELISA及びHEK293細胞を用いたセルベースアッセイにより、抗体価を測定した。
CCPD患者2例の血清は、坐骨神経切片に対して、ランビエ絞輪及びパラノード部におけるニューロファスチンの免疫染色により、ほぼ完全な共局在を示した。ELISAでは、抗ニューロファスチン抗体陽性率は、CCPD患者では86%、多発性硬化症患者では10%、CIDP患者では25%、セルベースアッセイでは、CCPD患者7例中5例で血清抗ニューロファスチン抗体を検出し、他の全ての被験者は陰性であった。
抗体陽性のCCPD患者では静注免疫グロブリン、又は血漿交換への反応が良好であり、さらなる注目が必要である。
コメント
多発性硬化症(MS)は中枢神経系の脱髄性疾患と考えられているが、私共は以前、中枢および末梢の両者の脱髄が示唆されたMS症例を経験した。また、過去にも同様な症例報告も散見される。さらに最近では、中枢と末梢同時に脱髄を示す疾患は本論文で取り上げられたCCPDとのとらえ方も提唱され始めている。今回CCPD患者血清を用いて、髄鞘形成細胞であるオリゴデンドロサイトとシュワン細胞に共通する抗原を坐骨神経において同定し、同抗原に対する抗体の存在がCCPDに特異的であることが指摘された。CCPDの疾患自体の存在や多発性硬化症との関連など今後検討すべき問題は多いが、中枢および末梢神経の両者が障害される例の解析や、治療法につながる報告であり、大変興味深く、紹介した。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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