低酸素によりヒト関節軟骨の形成は促進される一方、破壊は抑制される
Hypoxia promotes the production and inhibits the destruction of human articular cartilage.
Thoms BL, Dudek KA, Lafont JE, Murphy CL.
Kennedy Institute of Rheumatology and University of Oxford, London, UK.
Arthritis Rheum. 2013 May;65(5):1302-12. doi: 10.1002/art.37867.
正常なヒト関節軟骨由来の軟骨組織片と軟骨細胞を低酸素下に置き、低酸素誘導因子(HIF)が軟骨の同化と異化に果たす役割について検討した。
クロマチン免疫沈降法を用いて検討した結果、低酸素により軟骨組織片では軟骨形成が誘導されるが、これはHIF-2αが軟骨形成のマスター遺伝子であるSOX9遺伝子の特定部位に直接結合することで起きることが明らかになった。低酸素はまた、軟骨組織片における軟骨の自発的破壊や、インターロイキン-1αにより誘導される破壊を抑制した。この抗異化作用は主にHIF-1αを介して起きていた。
HIFを分解するプロリルヒドロキシラーゼ含有蛋白(PHD)-2遺伝子のノックダウンにより枯渇させて低酸素を感知する経路を変化させると、軟骨細胞は低酸素だけの場合よりも強く反応した。
治療のために直接標的とする必要があるのはSOX9のような上流の調節因子である。HIF特異的ヒドロキシラーゼであるPHD-2は軟骨修復の重要な標的となる可能性がある。
コメント
in vitroにおける低酸素状態が軟骨細胞の異化作用を示し、主にHIFを介して起こることを示唆したことは新発見である。しかし、生体内、関節腔内で低酸素状態にすることは困難と思われる。このためPHD-2を介する治療を考案して、治療を確立してほしい。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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