アルツハイマー病(AD)のバイオマーカー研究結果の臨床治療における利用:アルツハイマー病神経イメージング先導研究(ADNI)の研究者を対象とした調査
Using AD biomarker research results for clinical care: A survey of ADNI investigators
Shulman MB, Harkins K, Green RC, Karlawish J.
Neurology. 2013 Sep 24;81(13):1114-1121. Epub 2013 Aug 21.
米国食品医薬品局(FDA)が、アミロイド結合放射性トレーサであるflorbetapirを承認する直前の2012年4月に、アルツハイマー病神経イメージング先導研究(ADNI)の全ての研究者とスタッフに対してオンライン調査を実施した。
目的は、ADNIの研究結果を参加者に返却しないという方針を変更するべきかどうかについて情報を得ることであった。
ADNIの参加者がアミロイドイメージングの結果の開示を求めることは多かったが、全ての診断群において、ADNIの研究者の大半(約90%)はアミロイドイメージングの結果を参加者に返却しなかった。
しかし研究者の大半は、もしFDAがflorbetapirを承認するのであれば、軽度認知障害又は正常な認知機能を有する参加者へのアミロイドイメージングの結果の返却を支持すると報告した。また、返却方法に関する指針、及び開示の影響に関する研究が必要であることを強調した。
コメント
先月号のコメントでも取り上げたが、原因不明の神経変性疾患において、少しでも疾患の原因を修飾する治療法の開発は重要な課題である。そのためには、発症早期、もしくは発症前の段階での検査法の確立が重要である。アルツハイマー病においては世界的規模でANDIが実施中である。本論文は、正常者や軽度認知症のアミロイドイメージを実施するにあたって、その結果を参加者に知らせるかどうかに対してのインフォームドコンセントを中心とする神経倫理に関するものである。医学の進歩には必ず乗り越えねばならない壁があるが、治療法のない認知性疾患の発症前の診断についての大きな壁を指摘した論文である。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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