ヒト歯肉由来間葉系幹細胞の養子移入により、Th1細胞とTh17細胞の抑制ならびに調節性T細胞の分化促進を介してコラーゲン誘発関節炎が改善される
Adoptive transfer of human gingiva-derived mesenchymal stem cells ameliorates collagen-induced arthritis via suppression of Th1 and Th17 cells and enhancement of regulatory T cell differentiation.
Chen M, Su W, Lin X, Guo Z, Wang J, Zhang Q, Brand D, Ryffel B, Huang J, Liu Z, He X, Le AD, Zheng SG.
University of Southern California, Los Angeles 90033, USA.
Arthritis Rheum. 2013 May;65(5):1181-93. doi: 10.1002/art.37894.
骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)を用いた関節リウマチ治療の可能性が示されているが、細胞の入手が困難なため臨床的実用性に欠けるとされる。本研究では、代替のヒト歯肉由来間葉系幹細胞(G-MSC)を用いた場合の治療効果について、コラーゲン誘発関節炎(CIA)マウスを用いて検討した。
CIAマウスにG-MSCを静脈より移入すると、関節炎の重症度および組織病理学的スコアが減少し、炎症性サイトカイン(IFN-γとインターロイキン17A)産生が抑制された。また、G-MSC移入によりCD4+CD39+FoxP3+調節性T(Treg)細胞数が増加したが、この増加は移入後早期には脾臓とリンパ節で認められ、その後関節滑液中に認められた。増加したFoxP3+ Treg細胞は主にnTreg細胞ではなくiTreg細胞中のHelios陰性細胞であった。
抗CD25抗体をマウスに腹腔内投与してTreg細胞を涸渇させてからG-MSCを移入すると、CIAに対する保護効果が一部減弱された。CD39阻害薬またはCD73阻害薬で前処理したG-MSCを移入すると、CIAに対する保護効果が有意に阻害された。
G-MSCは自己免疫疾患の治療に有望であると考えられる。
コメント
関節リウマチの治療では現在IL-6またはTNF-αを阻害する治療が行われているが、抑制性免疫担当細胞の移入による治療法の開発が試みられている。本研究では入手困難な骨髄間葉系幹細胞ではなく、歯肉由来の間葉系細胞による免疫抑制作用で自己免疫をコントロールしようという研究である。マウスCIAモデルに上記細胞移入によって炎症性サイトカインのIFN-γとIL-17の産生が抑制され調節性T細胞(Treg)の増加が認められた。 著者は、本治療法は自己免疫疾患の治療に有望であると考えているが、実験結果はすべて部分改善であり、一工夫を要すると思われる。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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