CD109の過剰発現により、ブレオマイシン誘導性強皮症モデルマウスにおける皮膚線維化が改善される
CD109 overexpression ameliorates skin fibrosis in a mouse model of bleomycin-induced scleroderma.
Vorstenbosch J, Al-Ajmi H, Winocour S, Trzeciak A, Lessard L, Philip A.
McGill University, Montreal, Quebec, Canada.
形質転換性増殖因子(TGF)-βシグナル伝達の増加により、線維芽細胞の活性化、細胞外マトリックス(ECM)の過剰沈着並びに皮膚の肥厚化が促進され、全身性硬化症における線維化が進行する。著者らはこれまでに、CD109がTGF-βco-receptorとして作用し、ケラチノサイト及び線維芽細胞において、TGF-βシグナル伝達を遮断してTGF-βによるECM発現誘導を抑制することを明らかにしている。
本研究では、上皮でCD109が過剰発現するトランスジェニックマウスを用いて、ブレオマイシン誘導性全身性硬化症(強皮症)モデルを作成し、皮膚線維化に対するCD109の抑制効果を検討した。
トランスジェニックマウスでは、対照マウスと比較して有意に、皮膚の肥厚化及びコラーゲンの架橋化の抑制(組織学的検討)、コラーゲン及びフィブロネクチン含量の減少(ウェスタンブロッティング法)、並びにリン酸化Smad2/3(TGF-βシグナル伝達系因子)量の減少(ウェスタンブロッティング法)が認められた。
以上の結果より、TGF-βシグナル伝達を遮断するCD109により、ブレオマイシンによる皮膚線維化の改善が認められた。CD109は強皮症の治療における分子標的となる可能性がある。
コメント
強皮症は皮膚真皮の線維芽細胞の増殖とコラーゲン、フィブロネクチン等の増減により皮膚が厚くなり硬化をきたす自己免疫疾患である。TGF-βは線維芽細胞の増殖を促す因子としてよく知られ、TGF-βの産生増加が線維化の原因の1つであることが知られている。このたび、TGF-βのco-receptorのCD109がTGF-βのシグナルを抑制することが明らかとなった。CD109のトランスジェニックマウスにブレオマイシンによる強皮症マウスを作成したところ、強皮症が軽減した。強皮症治療にCD109を阻害しTGF-β機能を抑制する治療法が存在することを示唆している。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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