関節リウマチ患者において代謝プロファイリングから抗腫瘍壊死因子療法の効果を予測する
Metabolic profiling predicts response to anti-tumor necrosis factor α therapy in patients with rheumatoid arthritis.
Kapoor SR, Filer A, Fitzpatrick MA, Fisher BA, Taylor PC, Buckley CD, McInnes IB, Raza K, Young SP.
University of Birmingham and the Sandwell and West Birmingham Hospitals NHS Trust, Birmingham, UK.
Arthritis Rheum. 2013 Jun;65(6):1448-56. doi: 10.1002/art.37921.
抗腫瘍壊死因子(抗TNF)療法は関節リウマチ(RA)と乾癬性関節炎(PsA)に対してきわめて有効であるが、効果は一部の患者に限られる。
RA患者16例とPsA患者20例から、インフリキシマブ/エタネルセプトによる治療の前と治療中に尿を採取した。核磁気共鳴分光法を用いて尿中代謝プロファイル(代謝フィンガープリント)を評価し、臨床転帰との関連性を評価した。
投与開始前の尿中代謝プロファイルにより、抗TNF療法の良好な効果(欧州リウマチ学会の基準)が認められたRA患者と認められなかったRA患者が識別され、感度は88.9%、特異度は85.7%であった。RA患者において、投与開始前の代謝プロファイルと、投与開始後12ヵ月間の28関節での疾患活動性スコアの変化量に相関が認められた(P=0.04)。
効果が認められたRA患者とPsA患者の両方において、12週間の抗TNF療法の間に尿中代謝プロファイルの変化がみられた。この尿中代謝産物の変化の違いによってエタネルセプト治療とインフリキシマブ治療が識別されたことから、プロファイルが両者の作用機序の違いを反映していると考えられる。
以上より、RA患者の投与開始前の尿中代謝プロファイルと抗TNF療法の効果との明確な関連性から、治療を最適化するための新たな方法が構築される可能性がある。
コメント
関節リウマチの治療に生物学的製剤が登場して治療効果が飛躍的に改善した。更に開発の結果、今や7種、近未来に7~8種の生物学的製剤が出現予定である。この状態では治療薬の選択が困難となる。このため、治療前にあらかじめ有効・無効の判断が予測されることが望ましい。 本研究結果はTNF-α阻害剤のインフリキシマブ及びエタネルセプト治療前に尿中の代謝産物を質的・量的に検索することによって治療効果を予知することが高確率に可能であることが示された。 ただ代謝産物の測定にNMRを用いるため、一般化が困難である。 しかしながら治療の最適化の方法が示され、患者のみならず担当医にとってもきわめて有用な情報である。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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