人工股関節全置換術後の合併症リスクと外科医の年間手術症例数との関係:マッチした傾向スコアコホート研究による検討
Relation between surgeon volume and risk of complications after total hip arthroplasty: propensity score matched cohort study
Ravi B1, Jenkinson R, Austin PC, Croxford R, Wasserstein D, Escott B, Paterson JM, Kreder H, Hawker GA. 1Division of Orthopaedic Surgery, Department of Surgery, University of Toronto, Toronto, Canada bheeshma.ravi@mail.utoronto.ca.
BMJ. 2014 May 23;348:g3284. doi: 10.1136/bmj.g3284.
カナダのオンタリオ州において2002〜2009年に初回一次人工股関節全置換術を行い、術後少なくとも2年間経過観察した37, 881例を対象とし、術後90日以内(静脈血栓塞栓症、死亡)および2年以内(感染、脱臼、人工関節周囲骨折、再置換)の様々な外科合併症の割合を、外科医の手術件数との関係について検討を行った
年間35症例の閾値により脱臼および再置換のリスクが異なっていた。前年度35症例以下の人工股関節全置換術を行った外科医の6,716例の患者と35症例を超える手術を行った外科医の患者とをマッチさせた。前者と後者の外科医群について、患者の脱臼率は1.9% v 1.3%(P=0.006)、再置換率は1.5% v 1.0%(P=0.03)であった。
年間手術症例数が35以下の外科医が手術した患者では、脱臼および早期再置換のリスクが増加していた。外科医は年間に35症例以上を執刀すべきである。
コメント
専門性の高い手術は、限られた医療施設や外科医に集中させることが、医師にとっても、患者にとってもよいと認識されるようになっている。本論文は、人工股関節全置換術は年間手術症例数が35以上の外科医が手術する方が脱臼、早期再置換のリスクが低いことを示したものである。医療が専門分化し、専門性の高い医師が増えてきている。専門医が技能を向上させていくには患者が限られた専門医に集中する医療連携システムの構築が不可欠であることを示している。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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