軽度認知障害からアルツハイマー病への進行の予測における血清セルロプラスミン非結合銅の有用性
Value of Serum Nonceruloplasmin Copper for Prediction of Mild Cognitive Impairment Conversion to Alzheimer Disease
Squitti R1, Ghidoni R, Siotto M, Ventriglia M, Benussi L, Paterlini A, Magri M, Binetti G, Cassetta E, Caprara D, Vernieri F, Rossini PM, Pasqualetti P. 1Department of Neuroscience, Fatebenefratelli Foundation, AFaR Division, Fatebenefratelli Hospital, Isola Tiberina, Rome; Laboratory of Neurodegeneration, IRCCS "San Raffaele Pisana", Rome.
Ann Neurol. 2014 Apr;75(4):574-80. doi: 10.1002/ana.24136. Epub 2014 Apr 14.
血清セルロプラスミン非結合(非Cp)銅(遊離銅または活性銅としても知られる)を用いて軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)からアルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)への進行を予測することの正確度を長期追跡調査で評価した。
被験者のうち、42例でMCIが進行し、99例でMCIは安定していた。年齢、性別、認知機能の検査であるMini-Mental State Examinationのベースラインのスコア、APOE4、鉄、非Cp銅、トランスフェリン、フェリチン、高コレステロール血症、および高血圧を共変量とするCox重回帰分析を適用し、MCIからADへの進行を予測した。
ADへの進行の有意な予測因子であったのは非Cp銅のみであった(ハザード比 1.23、95%CI 1.03~1.47、P=0.022)。ADへの進行のハザード率は、非Cp銅濃度が1.6 μ mol/Lを超える被験者(4年間の進行率50%)では、1.6 μ mol/L以下の被験者(4年間の進行率20%未満)と比較して最大で3倍高く、非Cp銅はMCIからADへの進行を予測すると考えられた。進行の発生率はAPOE4とは独立していた。
コメント
アルツハイマー病の病態にアミロイド仮説があり、 β アミロイドやタウ蛋白など、より早期診断を可能にするサロゲートマーカーの検討がさかんに行われ、疾患修飾的治療法の開発が進んでいる。一方、銅、鉄、亜鉛など微量元素代謝異常のアルツハイマー病への関与が示唆される報告もある。本論文の結果は、非Cp銅の高値はMCIからADへの進行を予測し得るとするものである。著者らの指摘するように、リスクを軽減するための食事介入を行うことが可能である。例えば銅含有量の多い、いか、たこ、チョコレートなどは控えめにするなどであり、また銅のキレート剤であるD-ペニシラミン治療やそれを超えた治療へも繋がる可能性がある。銅代謝障害とアミロイド病態との関連など今後さらなる検討を要すると思えるが、興味があり取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: