ハンチントン病患者の神経細胞移植片に変異ハンチンチンが存在する
Mutant Huntingtin is Present in Neuronal Grafts in Huntington Disease Patients
Cicchetti F1, Lacroix S, Cisbani G, Vallières N, Saint-Pierre M, St-Amour I, Tolouei R, Skepper JN, Hauser RA, Mantovani D, Barker RA, Freeman TB. 1Centre Hospitalier Universitaire de Quèbec Research Center; Departments of Psychiatry and Neurosciences.
Ann Neurol. 2014 Jul; 76(1):31-42. doi: 10.1002/ana.24174. Epub 2014 Jun 6.
ハンチントン病(Huntington disease:HD)の原因は遺伝子変異による異常なタンパク質(変異ハンチンチン[mutant huntingtin:mHtt])であり、細胞自律的に影響を与えると考えられている。本研究は、進行性HDを有する患者の脳における遺伝的に関連のない胎児の神経同種移植片を調べることにより、mHttは脳組織内に拡散することが可能であるという仮説を検証した。方法は3種類の顕微鏡検査(明視野、蛍光、電子)、ウェスタン免疫ブロット法および赤外分光法、mHttの凝集の異なるエピトープを標的とした異なる4種類の抗体を用いた。
移植後約10年間生存し、疾患進行後に死亡したHD患者3例の脳における線条体組織の同種移植片内の細胞外マトリックスにおいてmHtt+の凝集が観察された。一方、ホスト脳では神経細胞、神経網、細胞外マトリックス、および血管において観察された。本研究は、HD患者の脳に同種移植された遺伝的に正常で関連のない神経組織におけるmHttの存在を初めて明らかにした論文である。
コメント
変異タンパク質のオリゴマー/凝集の形成を特徴とする中枢神経系の単一遺伝子性の神経変性疾患におけるタンパク質の拡散が示された。パーキンソン病においても同様な報告があるが、神経変性疾患の神経細胞変性の機序の一つには、プリオン病のように、直接接触による伝播があるのであろうか。問題提起の論文であるが、今後再生医療の発展には解決すべき問題を指摘したものであり、興味があり取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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