筋萎縮性側索硬化症における物語と言葉による事象の障害
Narrative discourse deficits in amyotrophic lateral sclerosis
Ash S1, Menaged A2, Olm C2, McMillan CT2, Boller A2, Irwin DJ2, McCluskey L2, Elman L2, Grossman M2. 1From the Department of Neurology and the Penn Frontotemporal Degeneration Center (S.A., A.M., C.O., C.T.M., A.B., D.J.I., L.M., L.E., M.G.), and Center for Neurodegenerative Disease Research (D.J.I.), Perelman School of Medicine, University of Pennsylvania, Philadelphia. ash@mail.med.upenn.edu.
Neurology. 2014 Aug 5;83(6):520-8. doi: 10.1212/WNL.0000000000000670. Epub 2014 Jul 2.
言語による遂行機能、および関連する解剖学的評価に基づき、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)における物語と言葉による事象を検討した。方法は、ALS患者26例および健康な高齢者19例において、物語と言葉による事象の整合性の特徴について、半構造化発話サンプルを解析した。回帰分析により、言葉による事象の一貫性の評価と灰白質萎縮および白質の異方性比率低下とを関連付けた。
ALS患者では、対照被験者に比べ、言葉による事象の一貫性および話題の維持を含む、言葉による事象の適切性の評価が低かった。これらの評価は、遂行機能の評価と関連したが、運動機能とは関連しなかった。回帰分析では、言葉による事象の一貫性と腹側および背側前頭前野における灰白質萎縮との関連を示し、前頭前野間の投射を媒介する白質路の異方性比率低下との関連を示した。ALS患者では、物語と言葉による事象を整理する能力に障害が認められる。これらの障害は、部分的に遂行機能の制約に関連するようである。ALSは多系統疾患であるという仮説と一致し、この障害は前頭前野の疾患に関連している。
コメント
神経変性疾患は、最近では細胞質内に蓄積する異常蛋白質により分類されることが多い。ALS、ALSに認知症を合併する例、前頭側頭葉変性症(FTLD)などの一連の疾病群も異常TDP-43蛋白が蓄積する一つのスペクトラムとして表現されることもある。今回の報告は、同疾病群を物語と言葉による事象の解析と解剖学的検討により、前頭前野の障害に基づく遂行機能障害を特徴の一つとする疾病群であることを指摘したものである。変性疾患の多様性を再認識させる論文であり興味があり取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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