血液成分製剤でのE型肝炎ウイルス:イングランド南東部での陽性率および感染に関する研究
Hepatitis E virus in blood components: a prevalence and transmission study in southeast England
Hewitt PE1, Ijaz S, Brailsford SR, Brett R, Dicks S, Haywood B, Kennedy IT, Kitchen A, Patel P, Poh J, Russell K, Tettmar KI, Tossell J, Ushiro-Lumb I, Tedder RS.
1Transfusion Microbiology, National Health Service Blood and Transplant, London, UK.
Lancet. 2014 Nov 15;384(9956):1766-73. doi: 10.1016/S0140-6736(14)61034-5. Epub 2014 Jul 28.
献血された血液を検査し、後ろ向き調査により献血血液におけるHEV RNAの陽性率、その感染の血液成分製剤別の感染状況と患者の発生状況を調べた。本ウイルスは備蓄血漿製剤で検出されており、輸血による伝播の可能性がある。調査は、2012年10月8日から2013年9月30日の間にイングランド南東部で収集された献血血液225,000件を対象とした。検査はHEV RNA検査である。
その結果、ジェノタイプ3 HEVウイルス感染者は79名いた。2,848件あたり1件の陽性率(0.035%)であった。大部分の陽性献血者の献血時の血清反応検査結果は陰性であった。HEV RNA検査陽性の79名の献血血液から129パックの血液成分製剤が作製された。62パックは献血者の感染が同定される前に輸血に使用されていた。輸血された43例を追跡調査し、18例(42%)の感染事例があったことが明らかになった。献血血液の抗体検査が陰性でウイルス量が多いものほど感染につながっていた。免疫抑制状態の者では抗体陽転の遅延があるか、ウイルス血症期間が長かった。リバビリン治療または免疫抑制療法がなされた3例はHEV感染が陰性化していた。長期間または持続性の感染者は10例であった。高トランスアミナーゼ血症は多く認められ、短期感染者はまれであった。臨床的に軽度の輸血後肝炎を発症していたのは1例だけであった。
HEVジェノタイプ3感染が英国住民および献血者のあいだで珍しくないことが明らかになった。輸血による感染で急性肝炎が起こることはまれであったが一部の免疫抑制患者は持続性感染者となっていた。献血血液のHEVスクリーニングはされていないため、輸血感染かどうかにかかわらず、持続性のHEV感染患者を見つけ出し、抗ウイルス療法を提供する指針を作成する必要がある。
コメント
本論文は、E型肝炎が献血者にどの位存在しているかを献血者の血液を再検査して調べ、ウイルス遺伝子を持った血液の輸血を受けた者を調査して、感染状況を調べたものである。調査は、イングランドの公衆衛生機関と、イングランドの国営医療組織・血液センターが行ったものである。そのために、かなり正確な実態を明らかにしたものである。わが国でも同様な実態を把握する調査を行ってみる必要がありそうである。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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