ハンチントン病患者においてtriheptanoinは脳エネルギー代謝を改善する
Triheptanoin improves brain energy metabolism in patients with Huntington disease
Adanyeguh IM1, Rinaldi D1, Henry PG1, Caillet S1, Valabregue R1, Durr A1, Mochel F2. 1From Inserm U 1127 (I.M.A., D.R., R.V., A.D., F.M.), CNRS UMR 7225, Sorbonne Universités, UPMC University Paris 06, UMR S 1127, Institut du Cerveau et de la Moelle épiniére, ICM, Paris, France; Center for Magnetic Resonance Research (P.-G.H.), University of Minnesota, Minneapolis; Departments of Dietetics (S.C.) and Genetics (A.D., F.M.), AP-HP, Pitié-Salpétriére University Hospital, Paris; and Center for NeuroImaging Research (R.V.), Institut du Cerveau et de la Moelle épiniére, Paris, France.
Neurology. 2015 Jan 7. pii: 10.1212/WNL.0000000000001214. [Epub ahead of print]
ハンチントン病(Huntington disease:HD)において妥当性が確認された脳エネルギー代謝の機能的バイオマーカーである、脳の31P-MRスペクトロスコピー(magnetic resonance spectroscopy:MRS)を用いた非盲検試験を実施した。視覚刺激の前(安静)、最中(活性化)、後(回復)のクレアチンリン酸(phosphocreatine:PCr)および無機リン酸(inorganic phosphate:Pi)を測定した。早期HD患者10例および対照13例は脳の31P-MRSを受け、次にHD患者はtriheptanoinによる治療を1ヵ月間受け、脳の31P-MRSを含む追跡調査を受けた。
結果は、HD患者では、これまでに報告されているとおり脳のエネルギープロファイルに異常が存在することが確認された。1ヵ月後、治療を受けなかったHD患者では、脳のエネルギープロファイルに引き続き異常が認められた。一方、triheptanoinによる治療を1ヵ月間受けたHD患者では、MRSのプロファイルは改善し、視覚刺激中に上昇したPi/PCr比は回復した(P=0.005)。
コメント
著者らは、以前からHD患者の筋肉でクエン酸回路の基質を供給することでエネルギー代謝が改善することを見出していた。今回、中枢神経のエネルギー代謝を判定する方法を開発し(MRSでPi/PCr比を確認すること)、これを利用し、7炭素脂肪酸から構成されるトリアシルグリセロールで、クエン酸回路の補充物質として働くtriheptanoinを用いたHD患者での1ヵ月間の治療はMRSで視覚刺激中のエネルギー代謝の上昇を回復させるエビデンスが得られた。早期HD患者の生体エネルギープロファイルを改善する作用をtriheptanoinが有することが示唆されたが、これはクラスIIIのエビデンスであり、HDの基底核代謝の基礎的研究に基づく治療法の導入である。さらに著者らの持続ある研究の成果であり敬意を表すとともに、早期の臨床応用を期待したい。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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