プライマリ・ケアで認められるパーキンソン病の診断前の症状:ケースコントロール研究
Prediagnostic presentations of Parkinson’s disease in primary care: a case-control study
Schrag A1, Horsfall L2, Walters K2, Noyce A3, Petersen I2. 1UCL Institute of Neurology, University College London, London, UK. Electronic address: a.schrag@ucl.ac.uk.
Lancet Neurol. 2015 Jan;14(1):57-64. doi: 10.1016/S1474-4422(14)70287-X.
本研究は、プライマリ・ケアで認められる診断前の症状とパーキンソン病診断との関連を時系列に分析することである。英国プライマリ・ケア・データベース(The Health Improvement Network)の1996年1月1日〜2012年12月31日のデータから、パーキンソン病と診断された患者と非パーキンソン病患者とを選び、診断される2、5および10年前の運動性症候、自律神経症候、神経精神病学的障害、および追加の症候(倦怠感、不眠症、無嗅覚症、唾液分泌過多、レム睡眠行動障害)などについて調査した。対象は、パーキンソン病患者8,166例と非パーキンソン病患者46,755例であった。無関心、レム睡眠行動障害、無嗅覚症、唾液分泌過多および認知低下は年1,000例あたり1%未満と報告されているが、これらの症状を持つ者は分析から除外した。
パーキンソン病の診断2年前の時点で、頸部疼痛または硬直以外の臨床前症候の発生率は、パーキンソン病発症患者(n=7,232)では対照(n=40,541)より高かった。パーキンソン病の診断5年前の時点で、対照(n=25,544)と比較し、パーキンソン病発症患者(n=4,769)では、振戦(RR13.70、95%CI 7.82〜24.31)、平衡障害(2.19、1.09〜4.16)、便秘(2.24、2.04〜2.46)、低血圧(3.23、1.85〜5.52)、勃起障害(1.30、1.11〜1.51)、排尿障害(1.96、1.34〜2.80)、めまい(1.99、1.67〜2.37)、倦怠感(1.56、1.27〜1.91)、鬱病(1.76、1.41〜2.17)および不安(1.41、1.09〜1.79)の発生率が高かった。パーキンソン病の診断10年前の時点で、対照(n=8,305)と比較し、パーキンソン病発症患者(n=1,680)では、振戦(RR 7.59、95%CI 1.11〜44.83)および便秘(2.01、1.62〜2.49)の発生率が高かった。プライマリ・ケアにおいて、パーキンソン病診断の数年前に、さまざまな診断前症状を認めた。この研究は、Parkinson’s UKの助成を得て行った。
コメント
パーキンソン患者は、診断されるかなり前から前駆症状があることが本研究の分析から示された。つまり、プライマリ・ケアの場で、前駆症状をもとに発症前の段階から病気の進行を解明する自然史を明らかにし、進行に対する介入ができるかもしれないと示唆された。早期に病気を発見することで発病予防策や進行を遅らせる手立てを見出すことができるかもしれない。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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