関節リウマチ患者を対象としたトファシチニブの第II相、第III相および長期延長試験における感染症発症率と全死因死亡率の解析
Analysis of infections and all-cause mortality in phase II, phase III, and long-term extension studies of tofacitinib in patients with rheumatoid arthritis
Cohen S1, Radominski SC, Gomez-Reino JJ, Wang L, Krishnaswami S, Wood SP, Soma K, Nduaka CI, Kwok K, Valdez H, Benda B, Riese R Metroplex Clinical Research Center, Dallas, Texas.
1Arthritis Rheumatol. 2014 Nov;66(11):2924-37. doi: 10.1002/art.38779.
トファシチニブは、関節リウマチ(RA)治療に用いられる新機序の経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬である。RA患者は一般集団より死亡や感染症のリスクが高く、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の投与を受けているRA患者ではそのリスクがさらに増大する。トファシチニブの第II相試験、第III相試験、および長期延長試験のデータをプールし、中等度から重度のRA患者における感染症発症率および全死因死亡率を明らかにした。
これらの試験では、患者4,789例が、単独療法で、あるいはメトトレキサートやその他の非生物学的DMARDとの併用でトファシチニブの投与を受けていた。重篤な感染症の全体的な発症率は100患者・年あたり3.09件(95%CI 2.73〜3.49)、全死因死亡率は100患者・年あたり0.30件(95%CI 0.20〜0.44)であった。Cox比例ハザードモデルによると、年齢、副腎皮質ステロイドの用量、糖尿病、トファシチニブの用量には重篤な感染症との独立した関連があった。
トファシチニブの投与を受けたRA患者の感染症発症率および全死因死亡率は、生物学的製剤の投与を受けているRA患者と同等と考えられる。重篤な感染症の発症率は特に高くはなかった。
コメント
トファシチニブはTFN-α、IL-6等サイトカイン阻害剤ではなく、サイトカイン伝達における細胞内酵素のJAKを阻害する作用を示す。そのため、細胞内に入って阻害するため、長期に細胞内に存在し、細胞毒性に問題ありとされていた。しかし今回のデータから、その一つの感染症の副作用については特記すべきものでないことが示され、その点において使用上問題はないと考えられる。ただし他の副作用、例えば発がん性などについては不明である。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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