腸管切除後のクローン病の再発予防:無作為化試験
Crohn's disease management after intestinal resection: a randomised trial
De Cruz P1, Kamm MA, Hamilton AL, Ritchie KJ, Krejany EO, Gorelik A, Liew D, Prideaux L, Lawrance IC, Andrews JM, Bampton PA, Gibson PR, Sparrow M, Leong RW, Florin TH, Gearry RB, Radford-Smith G, Macrae FA, Debinski H, Selby W, Kronborg I, Johnston MJ, Woods R, Elliott PR, Bell SJ, Brown SJ, Connell WR, Desmond PV.
1Department of Gastroenterology, St Vincent's Hospital and Department of Medicine, University of Melbourne, Melbourne, VIC, Australia; Austin Health, University of Melbourne, Austin Academic Centre, Heidelberg, VIC, Australia.
Lancet. 2014 Dec 23. pii: S0140-6736(14)61908-5. doi: 10.1016/S0140-6736(14)61908-5. [Epub ahead of print]
クローン病患者は腸管切除をしても再度クローン病を再発し、再手術が必要となる者が多い。クローン病を適切に管理し再手術を防止することが求められている。オーストラリアとニュージーランドの17施設において、2009年10月13日〜2011年9月28日の間で、174例(約80%が高リスク)が登録され、1つ以上の試験薬の投与を受けていた。クローン病の肉眼的に確認できる腸管病変をすべて切除し、内視鏡で吻合部にアクセスできる治療継続患者に対してメトロニダゾール投与を3ヵ月間行った。再発リスクが高い患者にはチオプリンを、チオプリンに反応がない場合はアダリムマブを追加投与した。6ヵ月の時点で、これらの患者を、コンピューターを用いたブロック無作為化により大腸内視鏡検査群(積極的治療)と大腸内視鏡検査を行わない群(標準的治療)とに2対1の割合で割り付けた。
積極的治療群では6ヵ月の時点で内視鏡検査を行い、再発(Rutgeertsスコアがi2以上)と判断した患者に対しては、チオプリン投与、チオプリンに隔週アダリムマブ追加投与、または週1回のアダリムマブ投与へと強化した。積極的治療群122例のうち47例(39%)が強化治療を受けた。18ヵ月の時点で内視鏡検査により再発率を比較した。積極的治療群60例(49%)と標準的治療群35例(67%)であった(P=0.03)。粘膜が完全な正常状態に維持された患者は、積極的治療群の27例(22%)に対して、標準的治療群では4例(8%)であった(P=0.03)。積極的治療群において、6ヵ月の時点で再発して強化治療を受けた47例のうち18例(38%)は、12ヵ月後に寛解していた。反対に、6ヵ月の時点で寛解して治療を変えなかった75例のうち31例(41%)は12ヵ月後に再発していた。喫煙(オッズ比[OR]2.4、95%CI 1.2〜4.8、P=0.02)および喫煙を含む2つ以上の臨床的リスク因子の存在(OR 2.8、95%CI 1.01〜7.7、P=0.05)は、内視鏡的再発率が高かった。積極的治療群と標準的治療群における有害および重度有害事象の発生率には有意差は認められなかった。
コメント
クローン病は病巣を切除しても、再発を繰り返すやっかいな病気である。現在は抗炎症作用のある免疫系薬剤が多種類存在し、早期に適切な薬剤を組み合わせて投与することにより抑えることができる可能性がある。早期の病巣を発見するためには大腸内視鏡検査が必要となる。本研究は、定期的な内視鏡による病巣の確認に基づいて薬剤治療をすることが、標準的な治療を行うことだけよりも、クローン病患者の術後の再発防止につながるのかどうかを検討したものである。その結果、内視鏡を使い大腸を検索し、早期に再発病巣を発見し、選択的免疫抑制剤投与を行うことがよい結果をもたらすことが示された。定期的に内視鏡検査を実施するのは大変である。現状の薬剤では確実に再発を抑えることができず、もっと有効な薬剤が必要であることを示しているとも理解できる。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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