実験的関節炎におけるコロニー刺激因子1受容体に対するモノクローナル抗体の骨および軟骨への保護効果
Bone- and cartilage-protective effects of a monoclonal antibody against colony-stimulating factor 1 receptor in experimental arthritis
Toh ML1, Bonnefoy JY, Accart N, Cochin S, Pohle S, Haegel H, De Meyer M, Zemmour C, Preville X, Guillen C, Thioudellet C, Ancian P, Lux A, Sehnert B, Nimmerjahn F, Voll RE, Schett G.
11Transgene SA, Lyon, France
Arthritis Rheum. 2014 Nov;66(11):2989-3000. doi: 10.1002/art.38624.
コロニー刺激因子1受容体(CSF-1R)は、関節リウマチ(RA)の発症に関与する単球の増殖、遊走、および活性化を調整する。ヒトのCSF-1Rに対する新規モノクローナル抗体を用いてRA患者でのCSF-1Rの発現について検索し、その後2つの実験的関節炎のモデルにおいてCSF-1Rに特異的なモノクローナル抗体(AFS98)の有効性を明らかにした。
CSF-1Rの発現の検索には、RA患者の血液、滑膜、および骨の検体を用いた。AFS98の有効性は、コラーゲン誘発性関節炎(CIA)および血清移入関節炎のマウスモデルの臨床的評価と組織学的調査、ならびに骨の組織形態計測により検討した。
RA患者の滑膜では、変形性関節症(OA)患者や健常被験者に比べて有意に高度のCFS-1Rの発現が認められた。マウスモデルでは、CSF-1RのAFS98による遮断によって軟骨の損傷、骨びらん、全身の骨量の減少が抑制され、破骨細胞が減少した。特にCIAの炎症の抑制に効果的であったCSF-1Rの遮断は、滑液のマクロファージの消失および脾臓のCD11b+Gr-1陰性単球の減少と関連していた。
CSF-1Rの遮断は骨および軟骨の破壊に対する保護効果があり、CIAモデルでは有意な抗炎症作用が認められた。CSF-1RはRA治療の標的となり得る。
コメント
関節リウマチの治療は今や抗サイトカイン治療にて臨床的寛解が得られている。しかし、関節の破壊の寛解までは十分ではない。このたびCSF-1Rの受容体に対する抗体(AFS98)にて破骨細胞の抑制、抗炎症効果が認められたことから、関節破壊の防御も夢ではなくなるかもしれない。ただヒトに対する検討は今後にゆだねられている。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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