睡眠時間と致死的・非致死的脳卒中の発症リスク:前向き研究およびメタ解析
Sleep duration and risk of fatal and nonfatal stroke: A prospective study and meta-analysis
Leng Y1, Cappuccio FP2, Wainwright NW2, Surtees PG2, Luben R2, Brayne C2, Khaw KT2.

1From the Department of Public Health and Primary Care (Y.L., N.W.J.W., P.G.S., R.L., C.B., K.-T.K.), University of Cambridge; and the Division of Mental Health & Wellbeing (F.P.C.), University of Warwick, Coventry, UK. yl411@medschl.cam.ac.uk.
Neurology. 2015 Jan 20;84(3):304-12. doi: 10.1212/WNL.0000000000001155. Epub 2014 Dec 31.
英国の集団において睡眠時間と脳卒中発生率の関連を検討した。また、メタ解析により、この結果と公表されている研究の結果を合わせて評価した。Norfolkがんコホートの欧州前向き研究(European Prospective Investigation)から、42〜81歳の脳卒中を有さない参加者9,692例を組み入れた。参加者らは、1998〜2000年および2002〜2004年に睡眠時間を報告し、すべての脳卒中症例が2009年3月31日まで報告された。メタ解析では、Ovid Medline、EMBASE、およびCochrane Libraryで2014年5月までに公表された前向き研究を検索し、重み付けした変量効果モデルを用い統合効果を推定した。
9.5年の追跡調査後、346例が脳卒中を発症した。すべての共変量で調整後、長時間の睡眠は脳卒中発症リスクの上昇と有意に関連した(ハザード比[hazard ratio:HR]=1.46、[95%CI 1.08〜1.98])。短時間の睡眠との関連は小さく有意ではなかった。一貫して長時間の睡眠を報告した参加者、および時間の経過とともに睡眠時間が大幅に増加した参加者では、一貫して平均的な睡眠時間を報告した参加者に比べ脳卒中発症リスクが高かった。これらの結果は、更新されたメタ解析における統合されたHRと一致していた。
コメント
英国からの睡眠時間と脳卒中の意外な結果の論文である。なんと、8時間以上の長時間の睡眠が、中年以降の脳卒中発症の危険因子であるとのことである。その理由はわからないようである。睡眠時間が6時間より少ない人も高いが、睡眠時間が多い人のような有意差はないようである。睡眠の質などは考慮されておらず、すなわちパーキンソン病や多系統委縮症などの神経変性疾患があれば、睡眠の質の低下や、睡眠時無呼吸の場合など睡眠中の低酸素脳症が起こり得るわけである。今後は、聞き取り調査に加え、実際の睡眠状態のチェックが必要であろう。寝る子は育つというが、中年以降は寝すぎる老人は要注意との警告を発した論文であり、興味があり取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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