パーキンソン病における深部脳刺激の標的の運動サブタイプへの異なる影響
Differential Effects of Deep Brain Stimulation Target on Motor Subtypes in Parkinson’s Disease
Katz M1, Luciano MS, Carlson K, Luo P, Marks WJ Jr, Larson PS, Starr PA, Follett KA, Weaver FM, Stern MB, Reda DJ, Ostrem JL; CSP 468 study group.

1Department of Neurology, University of California, San Francisco and Parkinson's Disease Research, Education, and Clinical Center, San Francisco Veterans Affairs Medical Center, San Francisco, CA.
Ann Neurol. 2015 Apr;77(4):710-9. doi: 10.1002/ana.24374.
パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)患者を視床下核(subthalamic nucleus:STN)または淡蒼球内節(globus pallidus internus:GPi)への深部脳刺激(deep brain stimulation:DBS)を行う群に無作為に割り付けた多施設共同研究である、退役軍人局共同研究プログラム(Veterans Administration Cooperative Studies Program)No.468において、いずれの標的に対する刺激も、全体的な運動への利益は同様であることが示された。このデータセットをさらに解析し、2つの刺激の標的に対するPDの運動サブタイプの反応が異なっていたかどうかを評価した。
方法は、DBS実施前のベースラインにおける休薬時の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson's Disease Rating Scale:UPDRS)スコアに基づき、被験者235例を運動サブタイプ(振戦優位[tremor dominant:TD]、中間[intermediate:I]、または姿勢反射障害・歩行障害[postural instability gait difficulty:PIGD])で分類した。主要評価項目は、個々のPD運動サブタイプの被験者間でDBSの標的(STN vs GPi)ごとに比較した。
結果は、TDの患者では、GPiのDBS後、STNのDBS後に比べUPDRS-IIIで評価した全体的な運動の改善の平均値がより大きく(17.5±13.0 vs 14.6±14.9、P=0.02)、歩行の改善がこの差に主に寄与した。刺激の標的にかかわらず、PIGDの被験者では、IまたはTDの被験者に比べUPDRS-IIIスコアの全体的な改善の平均値が低く(8.7±12.2 vs 21.7±11.2 vs 16.3±13.8、P=0.001)、PIGDの患者では刺激による全体的な利益がより少なかった。
コメント
治療抵抗性のある進行期のパーキンソン病に対するDBS療法は世界的に行われている。有効であるとのエビデンスを示す報告は多いが、非無作為試験や非盲検試験や後ろ向き研究が多い。一般的にSTNは運動症状(姿勢・歩行障害以外)の改善に有効であり、GPiはdyskinesia減少に有効であるとされている。今回の論文の施設から5年前に報告された、無作為、盲検、多施設共同試験では、STNまたはGPiへのDBSで、いずれの標的に対する刺激も、全体的な運動への利益は同程度であること、さらにSTNはうつ状態の悪化があり、逆にGPiではうつ状態の改善があることが示された。今回の報告は同施設からの無作為、多施設共同試験の結果で、パーキンソン病の運動症状の違いに対する刺激部位の差異による効果を検討したものである。姿勢・歩行障害には無効が再確認され(GPiのDBSへの反応性による振戦の改善に基づく歩行障害に対する効果も指摘されているが)、DBSのより早期からの導入の必要性を指摘している。同施設の持続性を有した研究に敬意を表するとともに、パーキンソン病の非運動徴候に対するDBSの効果解析への期待を込め取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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