関節リウマチ患者における腫瘍壊死因子阻害薬と既存抗リウマチ薬併用療法の比較:TACIT非劣性無作為化対照試験
Tumour necrosis factor inhibitors versus combination intensive therapy with conventional disease modifying anti-rheumatic drugs in established rheumatoid arthritis: TACIT non-inferiority randomised controlled trial
Scott DL1, Ibrahim F, Farewell V, O'Keeffe AG, Walker D, Kelly C, Birrell F, Chakravarty K, Maddison P, Heslin M, Patel A, Kingsley GH.

1Department of Rheumatology, King's College London School of Medicine, London SE5 9RJ, UK d.scott1@nhs.net.
BMJ. 2015 Mar 13;350:h1046. doi: 10.1136/bmj.h1046.
英国の24カ所の多施設が共同し、メトトレキサート等の既存薬に治療抵抗性の活動性関節リウマチ患者に対して合成疾患修飾薬を併用投与することが、腫瘍壊死因子阻害薬の高コスト生物製剤だけで治療することと同程度の臨床的効果があるのかを評価するために12カ月にわたって行われた研究である。
関節リウマチ患者を、無作為に腫瘍壊死因子阻害薬投与群(生物製剤投与群)と既存の疾患修飾薬併用投与した群(代替薬投与群)に割り付けた。「生物製剤投与群」には1つの腫瘍壊死因子阻害薬が投与され、6カ月後に非応答者に対しては別の腫瘍壊死因子阻害薬が投与された。「代替薬投与群」には既存薬が投与され、6カ月後に非応答者に対してのみ腫瘍壊死因子阻害薬が投与された。主要評価として12カ月後に患者の健康状態質問票(範囲は0.00〜3.00)を用いた。副次的評価としてQOL、関節障害、疾患活性、有害事象、およびコストを用いた。
432例を無作為割り付けし、「生物製剤投与群」は101例、「代替薬投与群」は104例となった。16例で追跡できず(それぞれ7例と9例)、42例は介入を中断した(19例と23例)。健康状態質問票のスコアの平均の低下は、「生物製剤投与群」-0.30、また「代替薬投与群」-0.45、95%信頼区間(-0.29〜0.01)であった。QOLおよびびらん性進行などの副次的評価項目の改善は12カ月の時点で同程度であった。初期の疾患活性の低下は生物製剤群で顕著であったが6カ月を超えると差が認められなかった。寛解が72例で認められ(44例と36例)、28例は重度の有害事象を示した(18例と10例)。「代替薬投与群」の患者1例あたりの医療・介護コストは、「生物製剤投与群」と比べ0〜6カ月間で3,615ポンド、また6〜12カ月間で1,930ポンド低かった。
コメント
英国では医療サービスの財源が税金であるために、医療サービスの有効性の評価には神経をとがらせている。近年、慢性関節リウマチの治療薬として腫瘍壊死因子阻害薬などの高価な生物製剤が登場し、その使用が拡大している。そのため、生物製剤だけを使うことと既存の合成疾患修飾薬を併用した治療により治療成績に差があるのかを評価するために行われた研究である。研究の結果、両者の治療成績には差がなく、生物製剤だけを使うとコストだけが増大するというものであった。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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