剖検で確認された前頭側頭変性症において職業的技能は生存期間に影響する
Occupational attainment influences survival in autopsy-confirmed frontotemporal degeneration
Massimo L1, Zee J, Xie SX, McMillan CT, Rascovsky K, Irwin DJ, Kolanowski A, Grossman M.

1From the Frontotemporal Degeneration Center, Department of Neurology (L.M., C.T.M., K.R., D.J.I., M.G.), and Department of Biostatistics and Epidemiology (J.Z., S.X.X.), Perelman School of Medicine, University of Pennsylvania, Philadelphia; and The Pennsylvania State University (L.M., A.K.), College of Nursing, University Park, PA. massimol@uphs.upenn.edu.
Neurology. 2015 Apr 22. pii: 10.1212/WNL.0000000000001595. [Epub ahead of print]
本研究の目的は、剖検で確認された前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration:FTLD)およびアルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)の症例における職業的技能および教育の生存期間への影響を検討することであった。
剖検で確認されたFTLD(n=34)およびAD(n=49)の、人口統計学的特性をマッチさせた83症例について後ろ向きカルテレビューを実施した。各患者の主たる職業を分類およびランク付けした。教育水準は年数で記録した。生存期間は症状の発症から死亡までの期間と定義し、線形回帰を用い、職業的技能、教育および患者の生存期間の関連を検討した。
結果は、生存期間中央値は、FTLDでは81カ月、ADでは95カ月であった。教育を受けた年数および職業的技能は両群で同様であった。職業的技能が高いことは、FTLDにおいて生存期間が長いことと関連したが、ADではこの関連は認められなかった。FTLDにおける生存期間と関連する保護的因子の同定は、予後の推定値および治療試験などの縦断的研究にとって重要な意味を持つ。
コメント
本論文で職業的地位が高いほうが、FTLDによる影響から保護され、発症後の生存期間が長いことが示された。ADでは差が認められなかった。ADに比較し、FTLDでは前頭葉などの知的機能を担う場所が障害の中心であり、知的レベルを最大限に働かせる職業が、血流の増加による神経細胞の変性を抑制し、進行を遅らせている可能性もある。著者らも指摘するように、予後の推定値および治療試験などの縦断的研究にとって重要な意味を持つ素晴らしい報告である。一方、FTLD発症後は、対応する家族や社会の負担は大変であるのが一般的である。今回の検討にはなかったが、生存期間の延長がもたらす、患者を取り巻く環境への精神的および物質的影響なども今後検討すべき課題と考えられる。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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