リウマチの関節における腫瘍壊死因子αを介した滑膜線維芽細胞の活性化は転写因子snailによって調節される
Transcription factor snail regulates tumor necrosis factor α-mediated synovial fibroblast activation in the rheumatoid joint
Chen SY1, Shiau AL, Li YT, Lin CC, Jou IM, Liu MF, Wu CL, Wang CR.

1National Cheng Kung University Medical College, Tainan, Taiwan.
Arthritis Rheum. 2015 Jan;67(1):39-50. doi: 10.1002/art.38899.
転写因子Snailは、リウマチ患者の関節における腫瘍壊死因子α(TNF−α)を介した滑膜線維芽細胞の活性化に関与している可能性がある。カドヘリン11(Cad−11)および筋線維芽細胞のマーカーの発現、インターロイキン6(IL−6)の産生、ならびに細胞の侵襲性におけるSnailの役割を、関節リウマチ(RA)患者およびコラーゲン誘発関節炎(CIA)のラットの滑膜検体を用いて評価した。
RA患者およびCIAのラットの滑膜および滑膜線維芽細胞では、SnailとCad-11の高度の発現がみられた。Snail、Cad-11、およびα平滑筋アクチン(α−SMA)の発現は、滑膜線維芽細胞ではTNF−αの刺激とWntシグナル伝達によって発現増強され、CIAのラットの関節では抗TNF-α療法によって発現抑制された。Snailを過剰発現させたラットの関節で、滑膜の過形成と、Cad−11、α−SMA、およびIL−6の発現の増加が観察された。CIAのラットの関節では、Snailの発現の増加によって悪化した関節炎が、発現を抑制すると滑膜線維芽細胞の活性化が減弱したために改善された。
リウマチ患者の関節における腫瘍壊死因子α(TNF−α)を介した滑膜線維芽細胞の活性化はSnailによって制御されている。
コメント
RAにおけるTNF-αは炎症マーカーのみならず、RAの病態における中心的役割を持つサイトカインの一種である。しかしTNF-αのRAに対する直接的作用は不明な点も多々見られる。このたびTNF-α刺激による病態形成作用にCad-11、α-SMAおよびIL-6の発現が見出だされ、これらを介して滑膜線維芽細胞の増殖と活性増強が生じることが示された。ただしTNF-α阻害でも完全ではないため他の機序も存在することが示唆され、TNF-α阻害剤のみでは完全に炎症が抑制されないことが示唆された。
監訳・コメント:大阪大学大学院 工学研究科 吉崎 和幸先生
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