関節リウマチの治療としての腫瘍壊死因子αとインターロイキン17の複合的阻害:新規二重特異性抗体の開発およびその性状
Combined inhibition of tumor necrosis factor α and interleukin-17 as a therapeutic opportunity in rheumatoid arthritis: development and characterization of a novel bispecific antibody
Fischer JA1, Hueber AJ, Wilson S, Galm M, Baum W, Kitson C, Auer J, Lorenz SH, Moelleken J, Bader M, Tissot AC, Tan SL, Seeber S, Schett G

1Roche Pharmaceutical Research and Early Development, Penzberg, Germany.
Arthritis Rheumatol. 2015 Jan;67(1):51-62. doi: 10.1002/art.38896.
単一のサイトカインを阻害する関節リウマチ治療において臨床的に有効性を示す患者は約半数にすぎない。腫瘍壊死因子(TNF)αとインターロイキン(IL)17の複合的な阻害が相加または相乗的に認められるか否かを、in vitroおよびin vivoにて検索した。
ヒト線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)を培養し、TNF-α、IL-17、またはその両方で刺激し、TNF-αとIL-17に対する中和抗体を単独で、または併用で用いてヒトFLSにおけるサイトカインの産生抑制を評価した。次に、TNF-αトランスジェニックマウスに抗IL-17抗体と抗TNF-α抗体(インフリキシマブ)を単独投与または併用投与し、関節炎の発現並びに骨と軟骨の破壊を評価した。さらにTNF-αとIL-17に対する二重特異性抗体を作製し、ヒトFLSにおけるサイトカインの作用抑制を評価した。
TNF-αとIL-17の複合的な阻害はいずれか一方の阻害に比べ、in vitroでのサイトカインの反応の抑制に、またin vivoでの炎症の発現および組織破壊の抑制に効果的であった。二重特異性抗体は、in vitroでのサイトカインおよびケモカインの産生の抑制に優れた効果を示した。
TNF-αとIL-17に対する二重特異性抗体は、関節リウマチ治療に優れた効果をもつ可能性が示唆された。
コメント
サイトカイン阻害剤の有効性は知られているが、有効性を実感するのはそれぞれ半数の患者である。異なる2種のサイトカイン阻害剤による効果増強は考えられているが、金銭的にも混合治療は困難である。 今回、TNF-αとIL-17を同時に阻害するキメラ抗体を人為的に作成し、in vitroでの滑膜細胞を用いたサイトカイン産生抑制とTNF-αトランスジェニックマウスを用いた骨・軟骨破壊の抑制を検討した。その結果、2種のサイトカインを阻害することによってin vitro並びにin vivoでの抑制増強がみられた。このことによって、1つの抗体による2種のサイトカインの有効性が示唆され、実用化が目指せると考えられる。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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