関節リウマチ患者の末梢血B細胞におけるSykの活性化:アバタセプト療法の標的候補
Activation of Syk in peripheral blood B cells in patients with rheumatoid arthritis: a potential target for abatacept therapy
Iwata S1, Nakayamada S, Fukuyo S, Kubo S, Yunoue N, Wang SP, Yoshikawa M, Saito K, Tanaka Y.

1University of Occupational and Environmental Health Japan, Kitakyushu, Japan.
Arthritis Rheumatol. 2015 Jan;67(1):63-73. doi: 10.1002/art.38895.
SykはB細胞受容体シグナル伝達における主要な分子として機能するが、関節リウマチ(RA)患者のB細胞におけるSykの役割は明らかでない。B細胞におけるSyk活性化とRA患者の疾患進行および生物学的製剤への反応との関連を評価した。
健常被験者36例と中等度または高度の疾患活動性を呈するRA患者70例を試験の対象とした。フローサイトメトリーを用いた調査により、RA患者の末梢血B細胞では、健常被験者に比べてSykのリン酸化が選択的に亢進していることが判明した。リン酸化されたSyk(pSyk)値が有意に高い患者では、自己抗体である抗シトルリン化蛋白抗体(ACPA)が強陽性であった。pSyk高値はRAの活動性とは相関がなかった。アバタセプトの投与によってRA患者の末梢血B細胞のpSyk値は有意に低下したが、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬にそのような効果は認められなかった。アバタセプトの投与により、濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞の割合も有意に低下した。
アバタセプトはRA患者のB細胞におけるSykのリン酸化とTfh細胞の発現を抑制すると考えられ、B細胞‐T細胞相互作用がアバタセプト療法の標的候補として妥当であることが明らかとなった。
コメント
関節リウマチ(RA)発症にACPA陽性が指標となることからRAの自己免疫性が示されている。このことはT細胞とB細胞の関与が重要であることが示唆される。本研究はB細胞の活性化とTfh細胞の活性化が本疾患の増悪にも関与していることをT細胞抑制のアバタセプトを用いてin vivoにおいても示唆していることが重要である。ただしあくまで傍証である。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
PudMed: