抗てんかん薬と子宮内死亡:EURAPのデータを用いた前向き観察研究
Antiepileptic drugs and intrauterine death: A prospective observational study from EURAP
Tomson T1, Battino D, Bonizzoni E, Craig JJ, Lindhout D, Perucca E, Sabers A, Thomas SV, Vajda F

1 EURAP Study Group.
Neurology. 2015 Jul 17. pii: 10.1212/WNL.0000000000001840. [Epub ahead of print]
国際的観察コホート研究であるEURAPレジストリ(出生前の抗てんかん薬(antiepileptic drugs:AED)への暴露後に生じる甚大な先天奇形(major congenital malformation:MCM)のリスクを検討するために主にデザインのデータを用い、母親による異なるAED使用と関連する子宮内死亡(自然流産および死産)のリスクを比較することを目的とした。
ラモトリギン(n=1,910)、カルバマゼピン(n=1,713)、バルプロ酸(n=1,171)、レベチラセタム(n=324)、oxcarbazepine(n=262)もしくはフェノバルビタール(n=260)の単剤療法、または多剤療法(n=1,415)に暴露した妊娠7,055件のうち、632件が最終的に子宮内死亡となった(自然流産592件および死産40件)。子宮内死亡率は、異なる単剤療法間で同様であり(8.2%、95%CI 7.5%から8.9%)、多剤療法では高かったが(12.1%、95%CI 10.5%から13.9%)、受胎時のAED単剤療法の用量との関連は示されなかった。
てんかんを有する女性の妊娠における子宮内死亡の最も重要な危険因子は、AED多剤療法への母親の曝露および少なくとも片方の親がMCMを有することである。
コメント
妊娠中の女性てんかん患者に対する抗てんかん薬の投与には細心の注意を要する。胎児への催奇形性、児の成長過程においてのIQ低下などこれまでも報告されてきた。本報告は、自然流産および死産のリスクの前向き、コホート研究であるが、これほど大規模な研究は少なく貴重な報告である。多剤併用と両親のどちらかが奇形を持つことが自然流産と死産の危険因子であること指摘しているが、一般的に母体の年齢が上がれば甚大な奇形がある場合は死産が多く、高齢出産は奇形が少ないといわれていることより、甚大な奇形の関与が示唆される。薬剤の直接作用や遺伝因子の関与など検討すべき点はあるが、多剤併用はさけること、両親が奇形を持つ場合はより注意が必要であることなど、明日からの臨床に役立つ。てんかん女性患者の「てんかんと妊娠」に対するインフォームド・コンセントの重要性を合わせて指摘していると考えられ、重要な論文と考え取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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