ギラン・バレー症候群におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する自然免疫
Innate Immunity to Campylobacter jejuni in Guillain-Barrê Syndrome
Huizinga R1, van den Berg B, van Rijs W, Tio-Gillen AP, Fokkink WJR, Bakker-Jonges LE, Geleijns K, Samsom JN, van Doorn PA, Laman JD, Jacobs BC.

1 Department of Immunology, Erasmus MC, University Medical Center, Rotterdam, The Netherlands.
Ann Neurol. 2015 Sep;78(3):343-54. doi: 10.1002/ana.24442. Epub 2015 Jun 30
ギラン・バレー症候群(Guillain-Barrê syndrome:GBS)は、カンピロバクター・ジェジュニ(C.ジェジュニ)により引き起こされることが最も多い感染後神経障害である。C.ジェジュニが発現するリポオリゴ糖(Lipo-oligosaccharides:LOS)は、末梢神経において自己糖脂質と交差反応する抗体を誘導し、神経障害を引き起こす。C.ジェジュニ感染者1,000例のうち1例未満がGBSを発症し、GBSへの感受性を左右する因子は解明されていない。これらの人々では、Toll様受容体4(Toll-like receptor 4:TLR4)の活性化により、C.ジェジュニのLOSに対する内因性の樹状細胞(dendritic cell:DC)の応答性が高いという仮説を立てた。
C.ジェジュニのLOSに対するDCの応答は、健常者の間でばらつきが大きかったが、健常者の個人内ではばらつきは大きくなかった。このことは、内因性の因子がTLR4媒介性の自然応答の程度を左右することを示唆している。過去のGBS患者においてC.ジェジュニのLOSに対する応答性が高いことは、CD38およびCD40の発現増加により裏付けられ、C.ジェジュニ感染後のGBS発症において、自然免疫であるTLR4刺激に対する強い応答が重大な宿主条件であることが示唆された。
コメント
C.ジェジュニによるGBSの頻度は実臨床上多く感じるが、本論文にあるようにC.ジェジュニ感染者のGBS発症頻度は1,000例に1例未満と実際は少なく、いまだGBSへの感受性に関する因子は不明のままである。本報告で、C.ジェジュニ感染後のGBS発症において、自然免疫であるTLR4刺激に対する強い応答が重大な宿主条件であることが示唆された。GBS既往例での検討が中心であるが、健常者において、各個人に限定すればC.ジェジュニのLOSに対するDCの応答はばらつきが大きくないことも示され、内因性因子の重要性も示されている。健常者のさらなる解析と、GBS例との比較が、共通の背後因子の発見から発症因子の同定に結び付く可能性もある。今後の研究の発展が期待される論文と思い取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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