血中CC16濃度と肺機能および慢性閉塞性肺疾患の発症との関連:前向き研究
Relation between circulating CC16 concentrations, lung function, and development of chronic obstructive pulmonary disease across the lifespan: a prospective study
Guerra S1, Halonen M, Vasquez MM, Spangenberg A, Stern DA, Morgan WJ, Wright AL, Lavi I, Tarès L, Carsin AE, Dobaño C, Barreiro E, Zock JP, Martínez-Moratalla J, Urrutia I, Sunyer J, Keidel D, Imboden M, Probst-Hensch N, Hallberg J, Melén E, Wickman M, Bousquet J, Belgrave DC, Simpson A, Custovic A, Antó JM, Martinez FD.

1Arizona Respiratory Center, University of Arizona, Tucson, AZ, USA; Centre for Research in Environmental Epidemiology (CREAL), Universitat Pompeu Fabra, and CIBER Epidemiología y Salud Pública (CIBERESP), Barcelona, Spain. Electronic address: stefano@email.arizona.edu.
Lancet Respir Med. 2015 Aug;3(8):613-20. doi: 10.1016/S2213-2600(15)00196-4. Epub 2015 Jul 6.
血中のCC16の濃度が低いことが、一般集団における肺機能障害およびCOPDの発症に先行するかどうかについて、コホート研究により検討した。
コホート集団として、Tucson Epidemiological Study of Airway Obstructive Disease(n=960、平均追跡期間14年、以下TESAOD)、European Community Respiratory Health Survey(n=514、11年、以下ECRHS-Sp)、およびSwiss Cohort Study on Air Pollution and Lung Diseases in Adults(n=167、8年、以下SAPALDIA)の3つを使い、対象者は登録時にCOPDを有しない成人とした。小児期のCC16低濃度と肺機能の関連の予測評価には、Tucson Children's Respiratory Study(n=427)、UK Manchester Asthma and Allergy Study(n=481)、およびSwedish Barn/children, Allergy, Milieu, Stockholm, Epidemiological survey(n=231)の3つのコホートにおける4から6歳児の出生コホートを使った。
血中のCC16低濃度とFEV1の関連について、登録時の性別、年齢、身長、喫煙状況および強度、喫煙指数、喘息などのFEV1に影響する要因を補正して解析を行った。成人では、TESAODおよびECRHS-Spのデータから、CC16濃度とFEV1低下は逆相関を示した。SAPALDIAでは相関は乏しかった。またTESAODおよびECRHS-Spの登録時にCC16が低濃度の者では、ステージ2の気流制限発症のリスクが増加していた。CC16濃度の三分位で最も低い区分の小児では、16歳までに、FEV1が68 mL低下と有意に相関を示した。16歳まで喫煙を行わなかった小児においても同様なことが確認された。
コメント
細気管支を中心に局在するクララ細胞とその特異的産生蛋白であるクララ細胞分泌蛋白(Clara cell secretory protein: CCSP)は、炎症性サイトカインの産生抑制作用、線維芽細胞の遊走能を抑制し、炎症および線維化を抑制することに関係していると考えられている。そこで、本研究は、大きな健康課題となってきているCOPDと血清中のCC16濃度との関係についてコホートデータを使って検討したものである。研究結果からは、CC16濃度が低いことは、小児期の肺機能低下と相関していること、成人期の肺機能低下および一般成人集団における中等度の気流制限の発症リスクと関係していることが示されている。CC16値は、COPDの予知や診断の補助として有用なものとなる可能性が示唆される。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
PudMed: