アイソフォーム特異的抗体は、筋萎縮性側索硬化症においてC9orf72の特徴的な細胞内局在を明らかにする
Isoform-specific antibodies reveal distinct subcellular localizations of C9orf72 in amyotrophic lateral sclerosis
Xiao S1, MacNair L, McGoldrick P, McKeever PM, McLean JR, Zhang M, Keith J, Zinman L, Rogaeva E, Robertson J.

1 Department of Immunology, Erasmus MC, University Medical Center, Rotterdam, The Netherlands.
Ann Neurol. 2015 Oct;78(4):568-83. doi: 10.1002/ana.24469. Epub 2015 Aug 29
C9orf72の非翻訳領域におけるヘキサヌクレオチド反復伸長は、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)および前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration:FTLD)の最も多い原因である。スプライシングのパターンが異なる3種類のC9orf72転写物から、2種類の蛋白質アイソフォーム、すなわち長型(C9-L)および短型(C9-S)が産生されるが、C9orf72蛋白質の特性を調べるため、C9-LまたはC9-Sのいずれかを認識する新しい抗体を開発した。ウェスタンブロット法、免疫組織化学法、免疫共沈降法を含む多数の手法を用い、C9-LおよびC9-Sの発現レベルおよび細胞内局在を調べた。
結果は、C9-S抗体は健康な神経細胞において核膜を高い特異性で標識し、ALSの罹患運動神経細胞では細胞膜への明らかな再局在化を示した。免疫共沈降実験により、C9アイソフォームと核膜孔複合体の構成要素であるインポーチンβ1およびGTPアーゼRanとの相互作用が明らかになった。C9orf72が核・細胞質間輸送に関与しているかもしれず、このことからALS/FTLDの病態生理との関連性が示唆された。
コメント
9番染色体短腕に連鎖する非翻訳領域におけるGGGGCC 6塩基反復配列の異常伸長の遺伝子異常が今日までに確認されたALS/FTLDの病因として最も頻度が高いとされている。loss of functionや、gain of functionなど、どのような機序が神経変性や病的TDP-43凝集に関わっているかはいまだ不明である。今回、C9orf72転写物から産生されるC9-LまたはC9-Sのいずれかを認識する新しい抗体を用い、C9orf72が核・細胞質間輸送に関与している可能性、さらにALS/FTLDの病態生理と関連するかもしれないことが示された。今後、病態解明に繋がるインパクトの大きい論文と考えられ取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
PudMed: