臨床・遺伝情報に基づく分類によるパーキンソン病の予知診断:地域人口集団による予知モデル検証
Diagnosis of Parkinson's disease on the basis of clinical and genetic classification: a population-based modelling study
Nalls MA1, McLean CY, Rick J, Eberly S, Hutten SJ, Gwinn K, Sutherland M, Martinez M, Heutink P, Williams NM, Hardy J, Gasser T, Brice A, Price TR, Nicolas A, Keller MF, Molony C, Gibbs JR, Chen-Plotkin A, Suh E, Letson C, Fiandaca MS, Mapstone M, Federoff HJ, Noyce AJ, Morris H, Van Deerlin VM, Weintraub D, Zabetian C, Hernandez DG, Lesage S, Mullins M, Conley ED, Northover CA, Frasier M, Marek K, Day-Williams AG, Stone DJ, Ioannidis JP, Singleton AB; Parkinson's Disease Biomarkers Program and Parkinson's Progression Marker Initiative investigators.

1Laboratory of Neurogenetics, National Institute on Aging, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA.
Lancet Neurol. 2015 Oct;14(10):1002-9. doi: 10.1016/S1474-4422(15)00178-7. Epub 2015 Aug 10
パーキンソン病などの複雑な疾患を正確に早期に予知、診断することは研究者と臨床家にとって大きな利益をもたらす。Parkinson's Progression Marker Initiative(PPMI)研究のパーキンソン病患者367例、および神経疾患を有しない対照者165例を使って、嗅覚機能、遺伝的リスク、パーキンソン病の家族歴、年齢、および性別などパーキンソン病と寄与因子を段階的ロジスティック回帰分析により抽出した。そこで得られた因子をもとにモデルを開発した。モデルの妥当性を外部のParkinson's Disease Biomarkers Program(PDBP)、Parkinson's Associated Risk Study(PARS)、23andMe、Longitudinal and Biomarker Study in PD(LABS-PD)およびMorris K Udall Parkinson's Disease Research Center of Excellence cohort(Penn-Udall)の5つの独立したコホートのパーキンソン病患者825例および対照者261例について検討した。また、画像スキャンでドパミン作動性欠損がない患者(SWEDD)についてもモデルにより検討した。
作成したモデルは、PPMI集団ではROCカーブの曲線下面積(AUC)は0.923(95%CI 0.900−0.946)であった。AUC閾値(0.655)であり、感度(0.834)および特異度(0.903)がともに高く正確にパーキンソン病患者と対照者を識別することができた。ホスマー・レメショウのシミュレーション分析でもコホートのデータにマッチしていることが示された。外部の5つのコホートでモデルを検証した。PDBPでAUC 0.894、PARSで0.998、23andMeで0.955、LABS-PDで0.929およびPenn-Udallで0.939であった。いずれのコホートでも診断の識別が良好であった。本モデルで、パーキンソン病と分類されたSWEDDの被験者17例のうち4例が1年以内にパーキンソン病を発症し、パーキンソン病と分類されなかった38例では1例のみがパーキンソン病を発症した。本モデルは、パーキンソン病の発症者鑑別に有望な方法であることが示された。今後、モデルを使って診断される前のパーキンソン病患者を同定することによりバイオマーカーの開発や早期に治療介入することが可能となるかもしれない。
コメント
パーキンソン病に関係する個人情報、遺伝情報、家族歴を収集することでパーキンソン病を発症する人かどうかを相当正確に識別し、予測できることが可能であることを示した研究論文であった。パーキンソン病の病態が医学的にかなり解明されてきたからこそモデルが作成できるまでになったものと思われる。パーキンソン病に将来なる者をあらかじめ正確に把握できれば、それに備えた対応をすることができる。パーキンソン病以外でもモデルをつくり予知が可能となる時代が到来してきている。将来の病気の発症が予知できることにより、人生が変わることにつながることにもなり、告知の問題も出てくる。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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