関節リウマチでは自己抗原BiP由来のHLA-DR4エピトープはエフェクターT細胞および制御性T細胞により別々に認識される
Autoantigen BiP-derived HLA-DR4 epitopes differentially recognized by effector and regulatory T cells in rheumatoid arthritis.
Shoda H1, Fujio K, Sakurai K, Ishigaki K, Nagafuchi Y, Shibuya M, Sumitomo S, Okamura T, Yamamoto K.

1University of Tokyo, Tokyo, Japan.
Arthritis Rheumatol. 2015 May;67(5):1171-81. doi: 10.1002/art.39054.
関節リウマチ(RA)の病態においてエフェクターT細胞と制御性T細胞の機能バランスは重要な作用を有している。本研究の目的はRAの自己抗原BiP上に、それぞれエフェクターCD4陽性T細胞および制御性CD4陽性T細胞に対するエピトープが存在するか否かを検討することであった。
HLA-DR4陽性RA患者由来の末梢血単核細胞(PBMC)を用い、HLA-DR4に結合するBiP由来ペプチドへの反応を末梢T細胞の増殖およびサイトカインの分泌で検討した。また、コラーゲン誘発性関節炎(CIA)マウスにBiP由来ペプチドを経口投与し、関節炎スコアおよび組織学的スコアを評価すると共にインターロイキン10(IL-10)の産生、Foxp3の発現細胞の増加を検討した。
新たに同定されたBiP由来HLA-DR4エピトープのうち、BiP336−335刺激はRA患者で最も強くPBMC増殖を誘導し、増殖とRAの臨床的活動性および血清中の抗BiP抗体と抗シトルリン化BiP抗体との間に相関が観察された。一方、別のエピトープであるBiP456−475は、RA患者のCD25陽性PBMCの増殖なくIL-10の分泌を誘導し、そしてBiP336−335によって誘導されるPBMCの増殖および炎症性サイトカインの分泌を抑制した。BiP456−475を経口投与されたマウスでは関節炎が改善し、T細胞増殖を抑制した。また、IL-10の産生、Foxp3制御性T細胞数が上昇した。
エフェクターT細胞と制御性T細胞は異なるBiPエピトープを認識する。RAでは、BiP特異的エフェクターT細胞および制御性T細胞のバランスの偏在が疾患活動性に深く関与している。このため、BiP特異的T細胞は新しいRA治療の標的となる可能性がある。
コメント
本研究は関節リウマチ(RA)の病態、特に発症における免疫異常を示したもので、注目すべき研究である。すなわち、RAは自己免疫疾患の1つであるが、HLA-DR4陽性患者に多く遺伝的要因が基本的に存在する。外来抗原BiPはHSP類に属する蛋白質でHLA-DR4に結合する。このことによってT細胞が認識し免疫反応が生じるが、この度BiP分子上の異なったペプチド部位を、それぞれ免疫を増強するエフェクターT細胞と免疫を抑制する制御性T細胞が認識することが示された。RAはこの相反する反応の偏在によって疾患活動が生じている可能性を示した。この理論が正しいなら、この偏在をコントロールする新しいRA治療法も考えられる。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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