メトトレキサートは関節リウマチ患者においてFoxP3上流エンハンサーの脱メチル化を介して制御性T細胞機能を回復させる
Methotrexate restores regulatory T cell function through demethylation of the FoxP3 upstream enhancer in patients with rheumatoid arthritis
Cribbs AP1, Kennedy A, Penn H, Amjadi P, Green P, Read JE, Brennan F, Gregory B, Williams RO.

1Kennedy Institute of Rheumatology and University of Oxford, Oxford, UK.
Arthritis Rheumatol. 2015 May;67(5):1182-92. doi: 10.1002/art.39031
関節リウマチ(RA)患者には制御性T(Treg)細胞の抑制機能の低下が認められるが、RAの確定診断を受けた患者のTreg細胞の機能は正常であるとの報告もある。メトトレキサート(MTX)の投与によってTreg細胞の抑制機能が回復するか否かを検討した。
RA患者の末梢血検体を用い、Treg細胞によるT細胞増殖抑制およびインターフェロン-γ産生抑制を測定した。健常者とRA患者のTreg細胞におけるCTLA-4およびFoxP3の発現を評価した。健常者のCD4陽性T細胞を、MTXの存在下または非存在下でインターロイキン-2(IL-2)、IL-6、腫瘍壊死因子αと培養し、FoxP3発現を測定した。亜硫酸水素塩シークエンシングPCRによって、FOXP3上流エンハンサーのメチル化を解析した。
Treg細胞機能の低下は、MTXの投与歴がないRA患者でしか認められなかった。MTXの投与を受けたRA患者のTreg細胞では抑制機能が回復しており、機能の回復とFoxP3およびCTLA-4の発現増加との関連が示された。FOXP3上流エンハンサーではメチル化の有意な減少がみられた。
この研究により、RA患者ではMTXの投与によってFOXP3座位が脱メチル化され、FoxP3およびCTLA-4の発現が増加し、低下したTreg細胞機能が回復することが明らかとなった。
コメント
メトトレキサート(MTX)は関節リウマチ(RA)のDMARDsとして、最も有効な治療薬であるが、葉酸拮抗剤でDNAおよびRNAの合成阻害剤であることはよく知られている。本論文はMTXが調節性T細胞(Treg細胞)の転写因子のFoxP3遺伝子の上流に位置するエンハンサー部のDNAの脱メチル化をメチル化するというEpigenetic作用を示す新しい作用を有すことが示され注目される。このことによってMTXがTreg細胞の活性を亢進し抑制作用を示すことによってRAの活効が抑制されることが示唆された。 ただしMTXがFoxP3エンハンサーを特異的にメチル化させるのかどうか不明であり、他のDMARDsも同様の作用を有すかどうかも不明である。
監訳・コメント:大阪大学 産業科学研究所 吉崎 和幸先生
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