アクアポリン-4抗体陽性の視神経脊髄炎スペクトラム疾患における妊娠転帰:多施設共同後ろ向きコホート研究
Pregnancy Outcome in Aquaporin-4 Positive Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder: A Multi-Center Retrospective Cohort Study
Matthew Nour1, Esther Coutinho, Ichiro Nakashima, Filipa Sousa, Mark Woodhall, John Revis, Ernestina Santos, Jithin George, Joana Kitley, T Misu, AM Silva, Angela Vincent, Jacqueline Palace, Paddy Waters, K Fujihara, Maria Leite.

1 Nuffield Department of Clinical Neurosciences, John Radcliffe Hospital, University of Oxford.
Neurology. 2015 Nov 18. pii: 10.1212/WNL.0000000000002208. [Epub ahead of print]
視神経脊髄炎スペクトラム疾患(Neuromyelitis Optica Spectrum Disorder:NMOSD)の罹患者は主に女性であり、NMOSDは妊娠可能な時期に活動性が高いことが多い。そこでこの研究はNMOSDと妊娠転帰の関連を検討した。方法は、アクアポリン-4抗体陽性のNMOSDを有し、1回以上妊娠経験のある女性60例からなる国際コホートを対象とし、多変量ロジスティック回帰を用いて、NMOSD発症後の妊娠において流産または子癇前症の発生リスクが高いかどうかを検討した。
流産または子癇前症の発生率はそれぞれ12.9%および11.5%であり、NMOSD発症後の妊娠では42.9%および13.3%に上昇した。NMOSD発症後の妊娠では、母親の年齢および母親の流産歴とは独立して、流産のリスクが有意に高かった(オッズ比[OR]7.28)。今回報告の子癇前症の発生率は、多発性硬化症患者および集団研究で報告された率より高かった。
コメント
NMOと妊娠では、思い出深い症例がある。約30年前に経験したが、もちろんその当時にはNMOという疾患概念がなく、妊娠を契機に発症した多発性硬化症(MS)と診断し治療した。しかし、両眼視力消失、横断性脊髄障害による独歩不可の後遺症を残存したままであった。症状そのものや、症状に与える妊娠の影響が、MSと何か違うなあという印象はあったがそれ以上はなにもできなかった。医学の進歩により、NMOの概念が出てきて、感慨深く思ったことを記憶している。本論文は、NMOSD患者の子癇や流産などの妊娠転帰を解析し、NMOSD発症後の妊娠は流産や子癇前症発症の独立した危険因子である可能性を示唆した貴重なものであり、また思い出の症例を惹起させてくれた論文でもあり取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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