欧州における神経管閉鎖障害有病率の長期間の推移:地域ベースの研究
Long term trends in prevalence of neural tube defects in Europe: population based study
Khoshnood B1, Loane M, Walle Hd, Arriola L, Addor MC, Barisic I, Beres J, Bianchi F, Dias C, Draper E, Garne E, Gatt M, Haeusler M, Klungsoyr K, Latos-Bielenska A, Lynch C, McDonnell B, Nelen V, Neville AJ, O'Mahony MT, Queisser-Luft A, Rankin J, Rissmann A, Ritvanen A, Rounding C, Sipek A, Tucker D, Verellen-Dumoulin C, Wellesley D, Dolk H.

1Obstetrical, Perinatal and Pediatric Epidemiology Research Team, Center for Biostatistics and Epidemiology, INSERM U1153, Maternité de Port-Royal, 75014 Paris, France
BMJ. 2015 Nov 24;351:h5949. doi: 10.1136/bmj.h5949.
神経管閉鎖障害(NTD)の発生は妊婦に葉酸を補充することで減らせることが明らかになり推奨されているが、欧州では食物に葉酸の添加を義務化している国は少ない。欧州19カ国による28 EUROCAT(欧州先天奇形サーベイランス)に1991から2011年の間に登録された約12,500,000出産児から神経管閉鎖障害者(NTD)の有病率の変化をみた。この期間に二分脊椎5,776例、無脳症4,162例など、染色体異常と関連しないNTDの11,353例が登録された。
NTDならびに二分脊椎や無脳症の有病率の推計計算に変量効果ポアソン回帰モデルを用いた。NTDの推定有病率は10,000例中9.1例であった。NTDの有病率の変動はわずかで、下降傾向は認められなかった。2011年のNTDの推定有病率は1991年と変わらなかった。ポアソン回帰モデルによる年率の変化の推定では1995から1999年は4%増(有病率1.04、95%信頼区間1.01から1.07)、1999から2003年は3%減(0.97、0.95から0.99)で、2004年以降は変化がみられなかった。無脳症と二分脊椎は似た傾向で、ともに経時的な減少は認めなかった。NTDの中で生きて生まれた無脳症児の有病率は減少していた。ただしNTDの有病率の推定には登録の精度などデータの人的な影響が除外できないため注意が必要である。
コメント
1991年に英国の研究チームが無作為比較試験によって、葉酸添加により神経管閉鎖障害発生リスクが72%減少したと報告している。米国など40数カ国では穀類に葉酸の添加を義務化し、神経管閉鎖障害発生率が約50%減少したと報告している。義務化していない欧州諸国の発生率の変化を検証するために行われた研究である。欧州ではやはり有病率は減少していなかった。わが国も食品添加の合意が得られていないので、義務化されるまでの間、妊娠期にある女性の葉酸補充の意味を理解する啓発に力を注ぐ必要がある。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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