パーキンソン病発症の危険因子としてのC型肝炎ウイルス感染症:全国的コホート研究
Hepatitis C virus infection as a risk factor for Parkinson disease: A nationwide cohort study
Tsai HH1, Liou HH, Muo CH, Lee CZ, Yen RF, Kao CH.

1 Departments of Neurology (H.-H.T.), Neurology and Pharmacology (H.-H.L.), Internal Medicine (C.-Z.L.), and Nuclear Medicine (R.-F.Y.), National Taiwan University Hospital, Taipei.
Neurology. 2015 Dec 23. pii: 10.1212/WNL.0000000000002307. [Epub ahead of print]
C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)感染症が、パーキンソン病(Parkinson disease:PD)発症の危険因子であるかどうかを検討した。全国的な集団ベースのコホート研究で、2000から2010年のTaiwan National Health Insurance Research Databaseのデータセットから取得したデータに基づき実施した。ウイルス性肝炎を有する患者49,967例を解析対象とし、ウイルス性肝炎を有さない対照者199,868例を組み入れた。B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)感染、HCV感染、HBV-HCV重複感染の3つのコホートにさらに分類した。各コホートのPD発症率を算出し、Cox比例ハザードモデルを用い、PD発症リスク(ハザード比[HR]および95%信頼区間[CI])を推定した。
PD発症の未補正HRは、HBV感染患者では0.66(95%CI 0.55-0.80)、HCV感染患者では2.50(95%CI 2.07-3.02)、HBV-HCV重複感染患者では1.28(95%CI 0.88-1.85)であった。年齢、性別、および併存症で補正した後も、HCVとPDの関連は統計学的に有意であった(補正HR 1.29、95%CI 1.06-1.56)。
コメント
パーキンソン病は、遺伝因子や環境因子など、様々な要因の発症への関与が指摘されてきたが、真の原因はいまだ不明である。感冒罹患時に一時的に増悪することや、抗インフルエンザ剤が有効であることなど、感染や免疫機序を示唆する臨床経験は多い。最近HCVは神経親和性ウイルスであり、ドーパミン神経細胞を障害するとの報告も散見されるようになった。今回の検討で、HCV感染患者ではPD発症リスクが有意に高いことが明らかになり、臨床的に支持するものである。関与の機序にはさらなる検討が必要と考えられるが、発症早期のHCV陽性パーキンソン病患者において、HCV治療によるパーキンソン病の経過への修飾など興味があり、注目すべき報告と考え紹介した。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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