2012-2015年にカリフォルニア州で発生した病因不明の急性弛緩性脊髄炎
Acute Flaccid Myelitis of Unknown Etiology in California, 2012-2015
Van Haren K1, Ayscue P, Waubant E, Clayton A, Sheriff H, Yagi S, Glenn-Finer R, Padilla T, Strober JB, Aldrovandi G, Wadford DA, Chiu CY, Xia D, Harriman K, Watt JP, Glaser CA.

1Department of Neurology, Stanford University School of Medicine, Stanford, California2Division of Child Neurology, Lucile Packard Children's Hospital, Stanford, California.
JAMA. 2015 Dec 22-29;314(24):2663-71. doi: 10.1001/jama.2015.17275.
カリフォルニア州公衆衛生局は2012年に病因不明の急性弛緩性麻痺症例の報告を複数受け、2012年6月から2015年7月に報告された急性弛緩性麻痺症の脊髄運動ニューロンの関与を示唆するX線または神経生理学的所見を伴う患者に対し、脳脊髄液、血清検体、鼻咽頭スワブ検体、および便検体をカリフォルニア州研究所で感染因子検査を行った。
症例は59例であった。年齢中央値は9歳(4から14歳、50症例は21歳未満)であった。先行または併発症状は呼吸器・胃腸疾患(n=54)、発熱(n=47)、および四肢筋痛(n=41)であった。磁気共鳴画像(MRI)により脊髄灰白質のT2高信号が56例、髄液細胞増加が43例に認められた。最初の入院中に、ステロイド静注42例、免疫グロブリン静注43例、血漿交換13例、これらの併用も認められた。追跡できた45例では追跡期間の中央値9カ月の時点で38例に持続性脱力が認められた。免疫不全成人患者2例は発症から60日以内に死亡した。鼻咽頭スワブ検体、便検体、血清検体において病原体としてエンテロウイルスが最も高頻度に検出された(45例中15例)。脳脊髄液から病原体は分離されなかった。2014年8月から2015年1月のエンテロウイルスD68の全国的流行期間(0.16症例/100,000人年)での発生率は、それ以外の期間(0.028症例/100,000人年、P<0.001)と比較して有意に高かった。
コメント
1994年にアメリカ、2000年に西太平洋、2002年にヨーロッパの各地でポリオの根絶宣言が出されている。1988年時点に35万人(推計)いた患者が2012年には223人と報告されている。ポリオは感染症であり感染者が発生すると多くの国でまた流行する可能性がある。世界的に根絶されるまでポリオ様症状の人々の監視が必要である。根絶宣言が出されている北米で急性弛緩性麻痺の患者が複数見られたために検討した研究論文であった。ポリオはまだ根絶に至っていないため、根絶されている地域でも急性弛緩性脊髄炎の監視が必要である。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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