未治療の脳海綿状血管腫の臨床的予後の検討:患者データのメタアナリシス
Clinical course of untreated cerebral cavernous malformations: a meta-analysis of individual patient data
Horne MA1, Flemming KD, Su IC, Stapf C, Jeon JP, Li D, Maxwell SS, White P, Christianson TJ, Agid R, Cho WS, Oh CW, Wu Z, Zhang JT, Kim JE, Ter Brugge K, Willinsky R, Brown RD Jr, Murray GD, Salman RA; Cerebral Cavernous Malformations Individual Patient Data Meta-analysis Collaborators.

1Centre for Population Health Sciences, University of Edinburgh, Edinburgh, UK.
Lancet Neurol. 2015 Dec 1. pii: S1474-4422(15)00303-8. doi: 10.1016/S1474-4422(15)00303-8. [Epub ahead of print]
脳海綿状血管腫(CCM)は有症候性頭蓋内出血(ICH)の発症につながることが知られているが、それを外科治療すべきかどうかを判断するには未治療で放置した場合のリスクを明らかにする必要がある。この点についてシステマティックレビューにより推定を試みた。2015年4月30日までのコホートの患者からなる公表されたコホート研究をOvid MEDLINEとEmbaseの2つの論文データーベースから抽出し、その研究責任者に患者データの提供を求めた。有症候性ICHの5年リスク推定にはKaplan-Meier分析、転帰予測因子の検討には多変量Cox回帰分析、メタアナリシスのための分析にはデータ統合変量効果モデルを用いた。
6研究7コホートから1,620例、5,197人年を得た。204例のICH発症者がみられた(Kaplan-Meier 5年推定リスク15.8%、95%CI 13.7-17.9)。CCM診断後5年以内のICHの発症リスクを臨床症状とCCMの部位別に計算した。新規の局所神経障害(FND)の臨床症状の有無によるハザード比は5.6(95%CI 3.2-9.7)、CCMの存在部位が脳幹部かどうかでみたハザード比は4.4(2.3-8.6)であった。年齢、性別、および多発性のCCMかどうかは独立した要因であった。5年推定リスクは、ICHまたはFNDを伴わない非脳幹部のCCM患者718例で3.8%(95%CI 2.1-5.5)、ICHまたはFNDを伴わない脳幹部のCCM患者80例で8.0%(0.1-15.9)、ICHまたはFNDを伴う非脳幹部のCCM患者327例で18.4%(13.3-23.5)、ICHまたはFNDを伴う脳幹部のCCM患者495例で30.8%(26.3-35.2)であった。臨床症状の状況とCCMの存在部位が脳幹部であることは診断後5年以内ICHの発症と関連していた。
コメント
脳海綿状血管腫は頭蓋内出血を引き起こすことはよく知られているが、未治療で放置するとどの程度リスクが高いのかは明らかにされていない。そのため外科的治療をすべきかどうかの判断が難しい。本研究は、そのために行われた研究である。臨床症状や脳海綿状血管腫が発生している部位によって頭蓋内出血の発症リスクが大きく異なっていることが明らかにされた。今後、外科的治療の選択に有用な判断根拠を与えるものである。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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