関節リウマチ、腫瘍壊死因子阻害薬投与と皮膚扁平上皮がんと基底細胞がんのリスクの検討:スウェーデンの全国データに基づくコホート研究
Rheumatoid arthritis, anti-tumour necrosis factor treatment, and risk of squamous cell and basal cell skin cancer: cohort study based on nationwide prospectively recorded data from Sweden.
Raaschou P1, Simard JF, Asker Hagelberg C, Askling J; ARTIS Study Group.

1Clinical Epidemiology Unit, Department of Medicine Solna, Karolinska Institutet, 171 76 Stockholm, Sweden Pauline.raaschou@karolinska.se.
BMJ. 2016 Jan 28;352: i262. doi: 10.1136/bmj. i262
生物学的製剤を投与されていない関節リウマチ患者、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬を投与された関節リウマチ患者、および一般集団における皮膚扁平上皮がんと基底細胞がんの発症リスクの検討をスウェーデンの全国データを用いて行った。
生物学的製剤を投与されていない関節リウマチ患者(46,409人)、TNF阻害薬を初めて投与された関節リウマチ患者のコホート(12,558人)、それらの患者とマッチさせた一般対照コホート集団を用いた。上皮内または浸潤性扁平上皮がん(1998から2012年)および初回の基底細胞がん(2004から2012年)の対照群に対するハザード比を計算した。基底細胞がんについては、生物学的製剤未投与の関節リウマチ患者と一般集団との比較のハザード比は1.22(95%信頼区間1.07-1.41)であった。TNF阻害薬投与患者と生物学的製剤未投与患者との比較のハザード比は1.14(0.98-1.33)であった。扁平上皮がんについては、生物学的製剤未投与の関節リウマチ患者と一般集団との比較のハザード比は1.88(1.74-2.03)であり、TNF阻害薬投与患者と生物学的製剤未投与患者との比較のハザード比は1.30(1.10-1.55)であった。
生物学的製剤未投与の関節リウマチ患者での扁平上皮がんのリスクは約2倍であった。関節リウマチ患者では生物学的製剤未投与患者でも基底細胞がんや扁平上皮がんの発症リスクが高かった。扁平上皮がんは年間1,600例を生物学的製剤で治療するごとに1例発生すると計算された。関節リウマチ患者はTNF阻害薬投与しなくても皮膚の悪性腫瘍の発症リスクが高かったことから投与の有無にかかわらず警戒が必要と考えられた。
コメント
生物学的製剤を投与すると患者の免疫力を抑えることになるために悪性新生物の発生率が高まるのではないかと懸念されている。しかし、本研究の結果では、関節リウマチ患者に生物学的製剤を投与すると皮膚の悪性新生物の発生率が高まるが、それ程著しいものではないことが示された。それよりも関節リウマチ患者は生物学的製剤を投与されなくても皮膚の悪性新生物の発生率が高いことが示された。関節リウマチ患者の診療にあたっては、生物学的製剤投与の有無にかかわらず、皮膚の悪性新生物の発生が高いということを認識して対応する必要があることが示唆された。
監訳・コメント:関西大学 社会安全学研究科 公衆衛生学 高鳥毛 敏雄先生
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