施設コホートにおける自己免疫性辺縁系脳炎に対するリツキシマブ治療
Rituximab treatment for autoimmune limbic encephalitis in an institutional cohort
Lee WJ1, Lee ST, Byun JI, Sunwoo JS, Kim TJ, Lim JA, Moon J, Lee HS, Shin YW, Lee KJ, Kim S, Jung KH, Jung KY, Chu K, Lee SK.

1 From the Department of Neurology (W.-J.L., S.-T.L., J.-I.B., J.-S.S., T.-J.K., J.-A.L., J.M., H.S.L., Y.-W.S., K.-J.L., S.K., K.-H.J., K.-Y.J., K.C., S.K.L.), Comprehensive Epilepsy Center, Biomedical Research Institute, Seoul National University Hospital; and Program in Neuroscience (S.-T.L., J.-I.B., J.-S.S., T.-J.K., J.-A.L., J.M., H.S.L., Y.-W.S., K.-J.L., K.-H.J., K.-Y.J., K.C., S.K.L.), Neuroscience Research Institute of SNUMRC, College of Medicine, Seoul National University; Department of Neurology (J.-I.B.), Kyung Hee University Hospital at Gangdong; Soonchunhyang University School of Medicine (J.-S.S.), Seoul, South Korea.
Neurology. 2016 Apr 1. pii: 10.1212/WNL.0000000000002635. [Epub ahead of print]
本研究の目的は、自己免疫性辺縁系脳炎(autoimmune limbic encephalitis:ALE)に対するセカンドラインの免疫治療薬としてのリツキシマブの有効性および安全性を検討することであった。
リツキシマブの投与を受けたALE患者80例をKorea Autoimmune Synaptic and Paraneoplastic Encephalitis Registryから組入れ、リツキシマブ投与を受けていない患者81例を対照とした。抗体検出の有無および抗体の種類により患者を分類した。主要評価項目は、最終追跡調査時のmodified Rankin Scale(mRS)スコアの改善および良好なmRSスコア(0から2)とした。
機能改善が認められた患者の割合は、リツキシマブ群のほうが対照群よりも高かった。リツキシマブ群では、患者30例(37.5%)がシナプスの細胞表面自己抗体を有し、15例(18.8%)が腫瘍随伴性自己抗体を有し、35例(43.8%)が抗体陰性であった。自己抗体の有無にかかわらずリツキシマブの効果は同じであった。月1回のリツキシマブ投与の追加はmRSスコアの改善および良好なmRSスコアと関連した。
コメント
自己免疫性辺縁系脳炎は、傍腫瘍性を含め、さまざまな自己抗体を有することが多いが、自己抗体を有しない症例もある。NMDA関連脳炎など、シナプスの細胞表面抗原に対する自己抗体を有する群は、血漿交換や免疫グロブリン大量療法などが有効であるが、腫瘍随伴自己抗体陽性例や抗体陰性の例では無効のことが多い。他方、自己免疫性神経疾患の代表的疾患である多発性硬化症や重症筋無力症などでは、B細胞を特異的に抑制するリツキシマブの有効性が明らかとなり、セカンドラインとして位置づけられつつある。本研究の結果から、リツキシマブは、ファーストラインによる治療が無効であった自己免疫性辺縁系脳炎患者のmRSスコアを改善し、しかも自己抗体の有無に関係なく奏効するというセカンドラインとして位置づけられるクラスIVのエビデンスが得られた。重症感染症などの合併はないようであり、今後観察期間の延長による、同様の生物学的製剤であるタリズマブでみられる進行性白質脳症の合併の有無など検討課題はあるが、疾患修飾性治療に関する報告であり今後の発展が期待され取り上げた。
監訳・コメント:大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科 狭間 敬憲先生
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